色々と語っております・・・
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もしかすると今日、『夜の虹』が見られるかも知れない。
桜井の言葉は、とても好奇心をそそられるものだった。成瀬は続きを、もっと『夜の虹』を詳しく知りたくて、話の続きを強請る。
きらきらと、空に輝く一番星を思わせる瞳の色で見詰められ、見たことのないそれよりも、目の前にいる後輩の方が気にかかる。
そんな事を、傍らで無垢な顔して自分を見上げてくる成瀬に説明をした。
「理屈は良く判らないけど、きっと見れたら『凄い』とか、『奇跡』とかしか言葉が出ないんだろうなぁ」
「きっとそうだろうな。でも、こんなに条件が揃うのは珍しいらしいぞ」
「日が落ちてからが……勝負、なんですね!」
「勝負ねぇ。少し違うだろうけど、一か八かだから……」
一緒かな。
改めて成瀬の言葉と、自分が口にした言葉を比べてみるが、意味合いは良く似たもの。
楽しそうに目を細めて笑う後輩の、くせっ毛に手を伸ばして掻き混ぜる。
嫌がる素振りもしないで受け入れている可愛らしさに、思わず抱き締めたくなるもぐっ、と堪えて苦笑いした。
「どうしたんですか?」
「あ、いや……すまん。そうだ、成瀬。その勝負に乗ってみようか?」
どうだろう?
苦笑いから、提案に乗ってきそうな含み笑いをした桜井は、目線を下げて小首を傾げる。星の欠片を模した瞳に自身を映して、成瀬の答えを待つ。
「桜井さんが案内してくれるなら……勝負に乗ります」
すっ、と合わせた視線を逸らせて、こちらが出した提案に怖ず怖ずと上積みしてくる。
桜井にしてみれば、考えていた通りの嬉しい上積みに、満足だと微笑む。
「勿論だ。成瀬の為なら、何でもするよ」
逃げた瞳を追い掛け、その目尻に触れるか触れないかの際まで唇を寄せる。そして、必ず二人で見よう……と、吐息で囁きかけた。
月虹 / 20110421
ラジヲネタ。
二、三日前の雨の日に、そんなことをラジヲのお天気情報で話してました。
ちゃんと覚えてないのがポイントなんですが、月の虹と書いて「げっこう」と言っていたのが、とても印象深くてネタにしました。
かなり条件が厳しいみたいで、ハワイとかスコールがある地域だと確率は上がるらしいです。
満月が東の空から上がってきて2時間くらいの間、日中の雨上がりに出来る虹が見えるそうです。えと…西の空かな?ちょっとはっきり覚えてないんですが、すみません。
この条件に当たったのが、二、三日前だったのでした。
勝負…
と言えば、澤村の専売特許だと思いますが一か八か、二人の愛(きらきら~(笑))でこの月虹が見れれば…なんて思ってカリカリしました。
相変わらず午前様1時間前に帰宅している日々ですが…少し気晴らし?に書いてみました。
駄文、お付き合いの程、ありがとうございました!!
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水面揺れて、波紋描く。
桜花の精霊舞い降りれば、水華の流れにたゆとう。
御手に掬いしその精霊を、慈しみ愛でる貴方がいた。
桜の古木が、この丘にはあった。
月明かりに照らし出され、藍色した天蓋の下、花を咲き誇らせていた。
淡い光りを携えて、白にも桃にも見える曖昧な色を、徹の瞳に映していた。
古木の傍には池があり、風が舞えば桜の花弁も舞い、水面を彩る。
池の辺に佇んでいた徹は、丘の上に在る古木を見上げ、藍と桃白の色の交わりに感動を覚えていた。
綺麗。
その言葉に今、目の前に広がる風景を集約させる。浮かぶ花弁に吐息と混じれば、宙を舞う風と共に空へと還って行く。
「ほら、こっちにおいで」
春の夜の、まだ冷たい池の中へ足を浸けている修司は、風に舞う花弁を追い駆けていた徹を呼び寄せる。
手招きをして、自分の隣へ来るように、と。
大好きな修司に呼ばれれば、桜との戯れも何のその。徹は、一目散に駆け出し、水遊びをしている修司の元へと駆け寄る。そして、ふわふわとした真白な耳と尾を揺らせ、喜びを現す。
「水、気持ち良いですか?」
「冷たいけどね、気持ち良いよ」
そうなんだ、と頷いた徹は、修司と同じ様に両足を池へと放り出した。
冷たいと言われていたが、考えていた以上の冷たさに、小さな悲鳴を上げてしまう。この水に慣れるまで目を強く瞑り、眉間に皺を寄せる。じんわりと肌に染み込んで行く冷たさに、暫くすると慣れて来る。
冷え過ぎ、耳と尾の毛を逆立て堪えている姿が愛らしく修司は、思わず笑みを零してしまう。それに気付いた徹は、そろそろと瞼を開くと、隣で口元を覆って笑いを隠している修司を睨んだ。
ぶすっ、とした表情をしても、彼の何もかもが愛おしい者としては、その感情を膨らませるだけでしか無かった。
「冷たい過ぎるから、もう止めます……」
修司さんの様には、できません。
徹は音を上げて、池から両足を引き抜く。
冷たくなってしまった肌を摩り、水気を払って暖めた。
隣でごそごそと動いている徹の頭を引いた修司は、自身の腿の辺りに乗せ身体を横たえさせる。
驚いて身体を跳ね上げたが、がっちりと固定された頭は動かす事が出来なかった。
頬に当たる布の肌触りに混じって、温かなものもある。生身の、しかも腕とか掌ならともかく、足元の肌の感触に、徹の気が騒がしくなる。
何とかして気を逸らせようと、冷たさの濃い水の中へ自由でいた手を突っ込む。先程、修司が足でしていた動きを、荒々しく手でして見せた。
しかし、派手な水音をさせて、上下左右に動く掌も、直ぐに静かになってしまう。
「や……っ……」
「暖めるから、大人しくして」
それは嫌だと暴れてみた所で、到底叶うわけも無く、耳も尾も垂れ下げた徹は、真っ赤になりながら身体を小さく、丸くしてしまう。
素足に触れられ、撫でられ、暖められて行く。
修司の掌の温度を、塗り込める様に剥き出しの肌を摩ると、直ぐに反応が返って来る。
徐々に温もりを取り戻し、ぽつぽつと熱の花を開かせていた。
次第に熱が足元から、修司の触れている掌から這い上がり、徹の身体総てを覆い尽くしてしまう。小さな唸りを上げ、熱の逃がし場所を探して蠢く。
「水遊びは、止めたんじゃないのか?」
「今は、この冷たいのが……気持ち良いんです」
ぱしゃり。
水の中に浸けていた手を、徹は再び動かし始める。
先程の様に慌ただしくではなく、舟の櫓を漕ぐ緩やかな動きで、ゆらゆらと水と戯れる。
時折、丸めた掌を水面から引き上げ、水面を漂う花弁を掬う。そして、空へ浮かぶ月を水に映し、桜と共に手中に納めた。
「……どうかしたのか?」
修司は、徹の掲げ上げた掌の内を除き込む。
指の隙間から、小さな水滴を零し、腕を伝い肌を濡らす。
先程まで御足を摩っていた修司の手が、今度は徹の腕に触れ、水滴を払って行く。
ふるり、と揺らめかせた身体に合わせ、掌の中に在る水と花弁と月も、徹の動きに合わさる。
「僕の手に……大切で、大好きなものが総て……」
――――あるんです。
そう呟きを零した徹は、真上にある修司の方へ顔を向ける。瞳が合わさると、うっすらと唇を開き、はにかむ。
その表情は、この藍色の天幕の下で花開く、桜の様に美しく艶やかであった。
吸い寄せられるかの如く修司は、背を丸め顔を降ろして徹の唇を奪い、印を残す様に甘く食んだ。
その時。
徹と修司の合わさった掌は、離れる事無く結ばれていた。
花弁と、月も共に……
桜夜話 / 20110410
はー、疲れた(笑)
もう、書いてる最中から恥ずかしくなってきて、どないしよ~でした。
まま、勢いでやってやるーって…仕上げちゃいましたが。
やっぱり桜の話はね~書きたかったので、今年はサクナルさんで。
しかもワンコ徹。
いや、まだココ……二人、ちゃんと引っ付いてないんだけど?と思いながら、将来を夢見て、夢見すぎて先走り。爆笑。
水面に浮かぶ月と桜が、ただ単に書きたかっただけなんです。はい。
頼りない表現ではありますが、ちょっとでも綺麗な感じが出ていてくれれば…と思います。
もう未熟過ぎて、悲しいですが←何年経っても、これだから(涙)
少しでも楽しんで頂ければ…幸です。
お付き合い、ありがとうございました!!
最後になりましたが、拍手も頂き…
何も無いヘタレサイト、更には仕事でヘタレているので更新もへったくれも無く…失礼しております。
そんな中でも足を運んで下さり、拍手残して頂きありがとうございました!!
まだまだ小話の更新も、こんな感じですが、お付き合い頂ければ有り難いです。
本当に、ありがとうございました!
唐突に成瀬は、こんなことを聞いてきた。
「どうして『俺』だったんですか?」
と。
窓辺に腰を据え、庭に足を放り出した状態で、梅の枝から枝へと飛び跳ねる鶯を、愛らしいと俺は眺めていた。
春の訪れを告げる鶯の、まだ幼い鳴き声に口元を綻ばせていると、背後から成瀬がこう声を掛けてきた。
首だけで振り返り、表情を緩めたままにして小さな声を立てる。
「ん?」
「どうして桜井さんは、『俺』を選んだんですが?」
昨日、部屋に泊まっていた成瀬は、俺の表情とは対照的に、眉間に皺を寄せて睨み付けている。
怒りたいのか、泣きたいのか……そんな曖昧な様を浮かべていた。
「どうして?」
「はい……『どうして』……です」
身に付けているのは、服を汚してしまった所為で洗濯に出され、仕方無しに着ているサイズの合わない俺のパジャマ。
手足の余った部分は盛大に折り曲げられ、肩はずり落ち、かなり開いている襟からは朱い痕が見え隠れしている。
昨日、自分が付けた……小さな朱い痕。
改めて、この日の明るい場所で見てみると、我ながら恥ずかしい。
見境無くした、余裕の無い自分自身を鮮明に思い出させるには威力絶大な、成瀬の胸元だった。
仕出かした事には、全くの後悔は無い。
そんなものがあれば今頃、彼は俺のパジャマを着た姿を此処で披露していないだろう。
今までも、これからも、唯の『先輩と後輩』だっただろう。
その関係を壊したかったのは……他でもない、俺の想いからだ。
我が儘な感情だと思っていたが、成瀬も同じ想いでいてくれた事を知り、嬉しさの余り……今の状態に至っていた。
*
成瀬が言わんとしているところ、聞きたいところが見えて来た俺は、彼の眼前に立ち、しっかりと顔を見据える。
昨日も心の中をさらけ出し、腕の中に居た成瀬に懇懇と囁き続けたと言うのに、不安にさせてしまっていたのかと反省した。
その不安を早く解きたくて手を伸ばし抱き寄せようとすると、成瀬は身体を強張らせて怯えてしまった。
「すまない。そんなに怖い思いをさせてしまったか?」
「ち……違います!!ちょっとびっくりして……」
「昨日みたいな事はしないから、少しだけ我慢してくれ」
更にもう一度、抱き締める旨を伝えると成瀬は、困ったような顔をして頷いてくれた。
その身体に触れるか、触れないか位の距離で腕を伸ばし、彼を取り巻く空気もろとも手中に収める。
すると、俺達の熱に煽られたか、回りを取り囲んでいる物が一気に温度を上げた。と、同時に、俺と成瀬の体温も……昨夜感じ合ったものへと変えて行った。
「……あ……っ……」
小さく、感じ入った声を上げた成瀬の、その声に引き合う様にし俺の心音が鳴る早さを加速させる。
恥ずかしさから俯いた彼の髪に顔を埋め、これが『どうして』の答えだと伝える。
「成瀬じゃないと駄目なんだ……成瀬の全てに俺は、惹かれているんだ」
ありったけの想いを込めて、好きだと言う気持ちを彼に捧げる。
成瀬は、それを受け止めてくれたのだろう。
先程、見せていた眉間の皺は消え失せ、表情を和らげたか息を吐く。そして、俺の背に腕を回して爪を立ると、抱き締め返すのだった。
思いを込めて / 20110306
またまた、こっぱずかしいサクナル出来上がりました☆
コメントなんて出来ないので、さっさと逃げます~
ちょっと踏み込んだのが、この程度ですが…これでも書いた本人は、とてつもなく恥ずかしかったりします。涙。
1月から少しずつ書いてきた『お題』でしたが、このお話で終了です。
少し偏ったカプリングチョイスになってしまいました…自分の、その時の気持ち、その時に書きたかったカプリングで綴らせて頂きました。
お付き合い頂きまして、ありがとうございました!!
夢の中であなたが、抱き締めていてくれる様に。
夢が醒めても。
あなたの腕の中に、私を住まわせていて下さい。
「どうですか?」
「まだ下がらないな。一度、病院でしん……」
「だ……大丈夫だ……っ」
「でも、全然熱が下がらないんだよ、澤村!!」
「こんなもん、寝てりゃ……治る」
喉を枯らせて、とても辛そうな声で澤村は、断固として医者の受診を拒否する。
その訳を、痛い程に知る成瀬と桜井は、強く言う事が出来なかった。
――――金が掛かる。
一人暮らしの澤村には、医者代に貴重な生活費を使う等、毛頭ない。
風邪ぐらい自力で治す、と息巻いて数日が過ぎている。
風邪の症状にも千差万別あり、食事と睡眠をしっかりと補うことで治るものもあれば、この様に発熱が続き、長引くものもある。
幸いにして、意識がしっかりとしている澤村は、喉に少しダメージがあるのと熱が下がらずにいることだった。
本来ならば、この状態でも何時なにが起こり、事態が急変するかも知れないので医者に行って貰いたいのは山々なのだが、と医者を親に持つ桜井は思う。
「取り敢えず今日一日、これで様子を見て……明日、熱が下がらないなら医者へ連れて行く。良いな、澤村?」
「だから行かねぇって言って……る……」
眼光は鋭いのだけれど、枯れた喉では力強く文句も言えない澤村は、咳込み始める。そんな彼の背を摩る成瀬は、落ち着かせるとカップに入れた白湯を渡す。手にした暖かい白湯を一気に飲み干した澤村は、口の端から少し零れてしまったものを、ジャージの袖で拭った。
世話焼きの煩い二人を追い払うように背を向け、ベッドへと潜り込んで澤村は一言、了解の意を唱える。そして、解熱剤の影響か、眠気を催してきたので寝ると付け加えた。
「汗かいたまま寝てちゃダメだよ。着替え、ベッドの下に置いとくからね」
「後、水分も一緒に置いてあるから、出来るだけ飲むんだぞ。辛くなったら何時でも連絡して来い。良いな」
成瀬と桜井の言葉を聞き入れた澤村は、布団から手だけを出しサインを送る。それを見た二人は、帰る旨を言葉にして玄関へと向かう。
扉から出て行く二人の変わりに、少し冷たい空気が澤村の部屋へと入り込み、篭った熱を気持ち程度だが下げる。
このまま、自分の熱も下げてくれれば世話ないものを。
そう澤村は、外の物音と話し声を聞きながら、夢うつつになって行った。
***
澤村は、誰かに抱き起こされていた。
背中を摩る手は、節だっていて大きく、ぎこちない動きをしている。
恥ずかしいのか知れないが、小声で身に付けている物を脱がす旨を伺って来た。汗を吸い込んでしまったそれは、外気に晒されて次第に冷え、冷たくなって行く。
澤村は現のままに頷き、ベッドの下にある、成瀬が用意して帰った物へ着替えさせて欲しいと甘えた。
日頃、強がる澤村ではいたが、その手の持ち主が余りにも優しくて、もっと傍に、もっと長く居て欲しい願いからの甘えだった。
その意を汲むと、一心不乱に澤村を着替えさせる。
ぎこちなさに更に輪をかけて不器用さを曝け出す手は、なかなかと思い通りに動いてくれずに持ち主は、焦り始める。
その様を手に取る様に、今している表情を思い浮かべた澤村の口元は、笑みの皺が仄かなラインを描く。
無骨な指が、下着に掛かった所でぐい、と引き寄せた澤村の耳元で一言、すまん、と謝る。自身の肩に澤村の顎を載せ、極力下を見ない様にして最後の着替えをさせてくれた。
(なんか『らしい』や……優しくされるのも悪くないな、アイツに)
胸の内で呟いた澤村の表情は、とても穏やかでいて幸福そのものだった。
その刹那、意識は花びらの様に宙を舞い、意識の深い部分に落ちて行った。
***
きぃ。
もしかしたら眠っているかも知れないと成瀬は、ドアノブに手を掛け静かに開いた。
鍵を掛けずにいるなんて無用心だと思ったが、昨夜、自分と桜井が帰ろうとした時にやって来た小林に後を託した。
その小林は、間違いなく夜通し澤村の看病をしているだろうから、鍵の一つや二つ、掛かっていなくても大丈夫だろう。
暗にそう思いながら軽々と開いたドアの隙間から見えたものに成瀬は、恥ずかしくなって開いたものを直ぐさま閉じてしまった。
「どうかしたのか?」
「あっ……あの、まだ寝てるみたいだからそっ、としとこうかなって……」
後からやって来た桜井を、澤村の部屋へは近づけない様に成瀬は、その腕を引っ張って階段を駆け降りる。
釣られる桜井は、余りの勢いにひっくり返りそうになりながら、その後ろを付いて行った。
成瀬の顔が真っ赤になっていたのを見た桜井は、そこから部屋の中で起きていた事を想像して小さく笑った。
どこまでも初心だな、と。
桜井は、成瀬の傍らに立ち、肩に腕を回して引き寄せる。
「二人は仲良く……こうして寝ていたのかな?」
肩を寄せ、成瀬の髪に額を当て耳元でこう囁いてみれば、過剰な反応を起こす。足元から崩れ落ちて行く成瀬を抱き留めてやれば、腕の中に大人しく収まってしまう。
桜井の胸の辺りで、質問の答えに肯定して頷いた成瀬は、澤村と小林がしていた事と同じ様をするのだった。
***
(……ありがと)
随分と世話を焼いてもらったお陰か、はたまた最後の薬が効いたか。
身体の怠さから何日か振りに解放された澤村の目覚めは、とても心地好いものだった。
すっかりと元の元気を取り戻したのは、成瀬や桜井のお陰もあっただろうが……
昨夜からずっと傍に居て、移るかも知れないのに優しく抱き締めてくれていた『小林純直』と言う薬が効いたのだと澤村は、暖かな腕の中で思うのだった。
抱きしめて / 20110302
コバサワなんだけどサクナルにも見える、そんなお話でした。
きっとこんな風邪ネタ、抱きしめられて目覚めるネタは、どこぞで書いているだろうと思いますが…ご容赦を(^-^;
しかし、桜井さん…目立ちすぎなんすけど(笑)
下着の辺りは、どうしようか~って悩んだんですが、コバは見ないように~見ないように~ってドキドキしながら澤村を着替えさせているのも良いかも…で書きました。
コバの、何時までたっても初心な姿を見てやってくださいませ(笑)
成瀬は何時もの事だから。苦笑。
相変わらずド下手な小話ではありますが、少しでもホッコリして頂けましたら幸です。
すみません…月末月初の仕事の酷さに、また風邪を振り返し…しばらく出てこないかも知れません。
相変わらず日記だけ(ちょっと日記書く気力もヤバいです、今)のサイトですが…もっそり見守ってやってくださいませ(^-^;
*
初めに。
すみません、初めてに等しい夢SSです。
テニプリ、鳳夢。
中に、忍足、跡部、宍戸が出てきます。
女の子の名前変換は、ありません。
『彼女』としか表記しておりませんので、もしお読みになられる際は、脳内変換、もしくはそのまま読み進めてください。
友達に宛てたものを、了承を得て掲載致しました。
全く、右も左も分からずに書いた桜岡のドリー夢SS、よろしければ暫しお付き合い頂ければ幸いです。
「鳳ぃ~お前、チョコレート全部、断ってるんやってぇ?」
「はい、そうですけど……」
「こいつ、黙って机ん中とかに入れてあるのも、返して回ってるんだぜ」
「……なんちゅー勿体ないことすんねん」
後輩の鳳は、バレンタインデーに贈られてきたチョコレートを一切合切、贈り主へと返して回っていた。
先輩の忍足にしてみれば、女の子がせっかく贈ってくれたものを無下にするとは、男の風上にも置けないと文句を放つ。
同じく先輩の宍戸は、バレンタインデーに興味がない様子で、鳳の思うところならば返すのは有りだろう、と言った。すると忍足は、宍戸に向かって怒り出した。
「あんなぁ、せっかくの気持ちやゆーとるやろう!!女の子の気持ち、考えた事あるんかっ!!」
「っつーか、人の勝手じゃん……なんでお前が、俺に説教すんだよっ!!」
「なんやて?!」
「止めてくださいよ、二人とも。返している理由は、受け止める気持ちが無いのに……そんな事をしたら、女の子に悪いでしょう」
宍戸の言葉に怒り、衿元を掴み上げていた忍足は、二人の間で胸のうちを呟いた鳳を、目を丸くして見詰めた。
――――そう言う訳か。
後輩の行動に、同時に納得した先輩達は、掴み合ったまま顔を見合わせ人の悪い笑みをする。そして、これまた同時に首を動かして後輩を見詰める。
余り気持ちの良い笑い方をしていない先輩に、嫌な気配を感じたか、背筋に冷たいものが伝っていく。
「お、俺、練習に戻り……っ?!」
「あーら逃げるのかなぁ~鳳くん?!」
「ほら、吐け!!長太郎!!」
「や、止めて下さい……よっ、忍足さんっ!!宍戸さんっ!!」
もう気持ち悪さを全面に押し出し、迫って来る忍足と宍戸を、押し返そうとした時。
鳳の視界に、鬼の形相をした跡部が飛び込んで来たのだ。
あ、と思った瞬間には、眼前に迫って来ていた二人が視界から消え、地面へと平伏していた。
「てめぇら!!そこまで踏み込んでどーすんだ、あーん?!」
「せやかて聞きたいやんか~」
「殴られるなんて……激ダサだぜ……」
「喧しいっ!!ごちゃごちゃ言ってねぇで、とっとと走って来やがれ!!」
背後から思い切り殴られた忍足と宍戸は、跡部から厳しい灸を据えられ、罰としてグラウンド及び校内を駆け回る羽目となった。
被害者の鳳はと言うと、跡部からの咎めは無く、共にコートへと戻って行った。
***
――――今日は来てなかったなぁ……
練習も終え、無断で渡されたチョコレートも返し終わった鳳は、淋しさで肩を小さくし、校庭を横切っていた。
何時も、コートに集まって一団となっている人達から離れ、練習している様子を見ている女の子が居た。
鳳と同じクラスに居る、それこそ練習を眺めている時と同じで、余り目立たない存在だった。
だけど鳳は、そんな彼女の事を好きになってしまっていた。
きっと皆は気付いていないだろう小さな仕種や、話す声色の心地良さ。
不意に鳳の琴線に触れたか、次第に彼女を視線で追うようになって行った。
すると、いろいろな側面を発見するに連れ、ますます彼女に心を……鳳は奪われてしまうのだった。
今日は、バレンタインデー。
たくさんの女の子達からチョコレートで攻撃をされたが、先輩達の予想通り鳳は淡い期待を持ち、それらを全て断っていたのだ。
淡い期待。
それは全て、鳳の勝手な想い。
彼女から、もしかしたら贈って貰えるかも知れないと言う、自分本位の願いだった。
彼女との接点は、同じくラスで名前を知るくらい。
時折、用があり声を掛け合う程度。
それだけなのに鳳は、彼女への想いを大切に温めて続けていたのだ。
***
「お……おおとり……くんっ!!」
残念な気持ちで落ちている肩に、担いでいた重いテニスバックは更に負荷を掛けて来る。
しかし微かに、冷たい風に乗り流れてきた声に鳳は、辺りを見渡す。
人影は無いが、自分を呼んでいる声が確かに此処にあった。
背中を振り返って見ると、鳳の影を追い掛けて来る、一つの影が伸びていた。
「……あ」
それを彼女の姿だと認識するや否や鳳は、夕焼け空にも負けない位、頬を真っ赤に染め上げていた。
鳳が足を止めた事で、漸く追い付けたと彼女は、乱していた息を整えるよう深呼吸を一つ、二つと胸に手を当ててする。
「どっ……どうしたの?」
「う……ん。あのね、こうして鳳くんと喋るの、初めてで……いきなりで迷惑だと思うんだけど……」
これ、と彼女は、両手に乗せた袋を差し出し、顔を俯けてしまう。そして、受け取って欲しいとか細い声で、今にも泣き出しそうな声で鳳に伝えたのだ。
彼女にしてみれば、これが精一杯の自己表現だったのだろう。それきり顔を上げること無く、身体を固くしてしまっていた。
鳳が、チョコレートを返して回っているのは勿論、彼女も知っていた。
だけど、今日は特別な日。自分の想いを少しでも伝えたいと彼女は、諦め半分で鳳へと手渡す。
まさか、胸の中だけでずっと想っていた彼女から、チョコレートを手渡される等、微塵も考えていなかった鳳は言葉を失う。しかし、それは一瞬の事で、直ぐさま彼女への感謝と想いを、優しい声色で奏でる。
「ありがとう。君の……君のだけが欲しかったんだ」
だから、他の子達からのチョコレートを返していたのだ、と。
その告白に驚いた彼女の、揺れる指先と持っていたチョコレートの袋を鳳は、大きな手の平で優しく、温かな心を持って包み込んでしまうのだった。
My desire and her desire(僕の想い、彼女の想い) / 20110215
本当に、初めて書いたに等しいドリー夢です。
鳳大好きっ子の友達に宛てて、無い脳みそ捻って書いてみました。
皆さん、性格偽物だと想いますが…許してやってください(涙)
2時間くらいで一発書きしたのを送り付け、せっかくだからサイトに上げても良い?と聞いたら、快く了承してくれたので上げてみました。
最初、題名もなく誤字脱字も大量だったのを、少し加筆修正しての掲載です。
あんまボーイズ書いてるのと変わん無いよ!と思われますでしょうが…まま、初!との事で、ご容赦の程を…
駄文、お付き合いの程、ありがとうございました。
少しでも、ほっこりしたバレンタインデーの雰囲気が出てれば、幸いです。