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「頭が……」

悪いんですか?と、大作は目の前の大人に言った。
何時も事ある毎に突っ掛かられるわ、嫌み言われるわ、挙げ句に微妙な嫌がらせもされる。
大作いじめが大好きなこの大人へ、ここぞとばかりに嫌味を言ってやるも、予測していた反論も何も降り起こらなかった。
こめかみに指先を突き立てたまま唸り、眉間に皺を寄せていた。
ちら、と上げた目線だけで大作を確認し、物言わぬままにまた目線を下に落とす。

「あの……僕、村雨さんを馬鹿にするような事、言ったんですけど……」

暴言に気付いてるのか気付いてないのか、適当な相槌を大人な村雨は大作へして寄越した。








村雨の、何時もと違う様子を黙って見詰めていた大作だったが、俯いたままの顔に手を添える。そして上向かせると、目を細め何かを堪えている大人の表情に出会す。
先の暴言に対する謝罪か、今からする事に対する謝罪か。大作は『すみません』と言い、村雨の額に自分のそれをあてがった。


「……何だ?」

「熱、ありますよ……多分……」

「子供な、お前の体温が高いだけだろう?」

「そんなこと無いです……父さんや母さんは、こうして熱を見てくれました。僕も、村雨さんの熱くらい……見れます」

「そうかい……」

ありがとう。

村雨は、熱帯びた手のひら
を大作の柔らかい頬に添え、額を更に寄せたのであった。



鬼の撹乱
20140112





どや(笑)


めっさしんどいわ…スマホの文章打ち。
慣れなければ…いけないのだよ、桜岡。
試練なのだよ(笑)
いやあ、滑ってんだか、叩きすぎなのか……要らん文字まで入っとる。



熱のある内に、ひけらかしておく。
思い付いたら、とりあえずすぐに書け桜岡!!


な訳で村大でリハビリってみた。


二人のカワイコちゃんに…オバサンさらプレゼントしてみる(笑)
見ても反応は要らんぞ、恥ずかしいから(///∇///)

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きっと、夜明け前だろう。
ここ暫く冷えていると思っていたが、今日は一際、肌寒さを感じて目が覚めた。
寒さもあったが、寝ている成瀬の口から零れる騒音が、桜井の耳を襲ったのも原因していた。

(これだけ凄ければ、悪戯書きされても仕方ないな)

ベッドから抜け出し床に敷かれた布団の上、寒いのか上掛けにくるまり、丸くなっている成瀬に近付く。
彼の吐く音は収まることを知らず、四つん這いになって傍にまで来た桜井には、騒音でしかなかった。

(ご両親は、これを毎日聞いていたりするのか……?!)

これを聞くのは、初めてではない。
正確に言えば、体感したのは……初めてだった。









成瀬がこの部屋を訪れても、電車の最終時間には帰ってしまうからだ。
唯、手を繋いでいるだけの関係ではない、もっと深く繋がっているのだから良いのではと桜井は思っていたが、成瀬の方が恥ずかしがり、泊まる事を嫌っていた。しかし、
今日はどういう風の吹き回しか、成瀬が泊まると言い出したのだ。
何があったのかは判らないが、桜井にすれば大きな誤算で、喜びを隠しきれない顔は緩みっぱなしだった。
部屋で二人、他愛ない話をして、食事をして過ごす。日中の暑さを洗い流すよう成瀬に風呂を勧めると、顔をうつ伏して部屋を出て行ってしまった。彼のいない間に桜井は、客用の布団を用意し、自分の使っているベッドから少し離れた床に敷く。
本音を言えば、ベッドで一緒に眠りたいのだが、成瀬が『良い』と思えるまで、今回は待つことにした。
せっかく泊まる、と言う行動を起こしてくれたのだから、それを壊してしまわない様にと思ったのだ。



空調が程好く効いた部屋に戻ってきた成瀬は、床に敷かれた布団を見、息を吐いていた。
桜井は内に抱いた思いを隠し、成瀬の風呂上がりで濡れた髪を綺麗に拭いてやる。我慢をする代わりに悪戯に口付けてみれば、真っ赤になって睨んで来た。
可愛い仕草に笑みを残して、桜井も風呂を使おうと部屋を出る。
何事も無く、翌朝を迎える自信はある。
しかし、ちょっとした手違いで事件が起こったとしても、それはそれで互いに許容の範疇だとも理解出来ているはずだ。
だからこそ成瀬は照れはしても、悪戯を許してくれているのだと桜井は思っていた。




そんなことを考えながら自室の扉を開いた瞬間、風呂上がりには心地よい空調の風に包まれた。
そんな中、疲れからか、はたまた緊張の糸が切れたか、成瀬が大の字になって寝息を立てていた。

「もう少し、待っていてくれても良いじゃないか……」

成瀬よりも少し長めで癖のある髪を濡らす水滴を、タオルで拭いながら溜め息を吐く。
心許してくれていると思いたいが、きっと違うだろうなと桜井は、腹に手を添え笑いを堪える。
これが彼の、天然たる素直な行動なのだろう。
色気があっても困るが、無くても困りものだと、堪えた笑いを少しだけ声にした。そして、無防備な成瀬の身体に布団を掛けてやり、灯りを落として部屋を暗くする。


おやすみ――――と言えば、答えは寝息で返してくる可愛い後輩へ、笑顔を贈った桜井は、同じ様に眠りの底へ沈んで行くのだった。








その数時間後……
全くもって色っぽくない事件が起き、桜井は言葉を落とす。

「このまま押さえ込んで、襲って、黙らせてしまおうか……」

鼻先が触れそうな位まで顔を近付けても一向に目覚めない騒音を紡ぎ出す成瀬へ、愚痴を紡ぎ出すことしか叶わなかった桜井は、幸せそうに眠り続けるその顔を、暫く辛そうに見詰めていた。


幸せ、と、辛い、は紙一重。

20131201





桜井さんの誕生日に向けて、と言うか、少し前に成瀬版を書いていたものの対話。
ただ、桜井さんには苦痛でしか無かった……内容に出来上がり、ゴメンナサイと土下座する桜岡であった(笑)



お互いが天然やから、しゃーないねん(仕方ないねん)!!













パキン、パキン。
細長いクッキー生地にチョコレートをコーティングした菓子を、正太郎は心地好い音をたてて食べていた。
窓の外を降り落ちている雪を見詰め、心此処に在らずな顔をして唯、食べ続けていた。
手にした菓子が消えてしまえば、また新しいものを手にし、口へと運ぶ。
その繰り返し、繰り返し。
正太郎が菓子を食べ続けるのと同調しているのか、雪も降り止むことを知らず、町を徐々に白く染めていった。

(早く帰って来ないかな――――さん……)

日頃、呼び捨てにしている歳上の相手に、珍しく正太郎が『さん』と付ける。


パキン。パキン。


部屋に一人残され、胸の内に張り付いた寂しさと、なかなかと戻らない事に対する溜め息を、溢してしまわない様に菓子で口を封じる。
しかし、床に散らばっていたものは一本、また一本と正太郎の中へと消えて行く。

(……あ、もう無いや)

最後の一本になった菓子を唇に挟んだ時、心の呟きと共に涙が一粒、頬を伝い落ちた。






「一人にして悪かったな」

そう声が耳に届いた瞬間、後ろから伸びてきた大きな手のひらは、柔らかな頬を伝った涙を払い包み込む。そのまま上向かされた正太郎の目には、待ちわびた人の顔が映り込む。
文句の一つを、何時ものように名を呼び捨てて言おうとしたが、口にある菓子が邪魔をして叶わなかった。
それどころか……
正太郎の唇に挟まれていた菓子の端を噛み、唇が触れるか触れないかの際どい所まで『パキン。パキン。』と食べてしまうのであった。




折れそうな心、折られた菓子。


20131110







う~
解りづらくてすみません~
本当は正太郎君と大作君でポッキーゲームなんぞさせて、負けん気お互い出しちゃって収集つかなくなり、あわや!の所で二人のケンジが止めるのを考えたんですけど…
蓋開けたらセンチメンタル正太郎くんでした。
あは。


ご無沙汰してしまっているんですが、A嬢に捧げたいと思います。勝手に。
ま、見てらっしゃらないだろうから…こっそりプレゼントしときます。
彼女ならほんとは大作君で…なんだけど、ごめんなさい、オバサン力量なくて…苦笑。






正博は、水平線の彼方より昇り来る、太陽の輝きに目を細める。
目映さの中にある、暖かさと優しさに包まれていた。
安心する反面、不安も心を過る。



幼い頃に、この海岸に流れ着いていたのを助けられた。
助けた人間は、この国の長(おさ)だった。
目を覚ました時は、自分の名前が(正博)だと言うこと以外、全ての記憶を失っていた。
見慣れない土地、見慣れない場所、見慣れない人々。
怯え、狂乱する正博を長は傍に置き、物事を一から十、更には百まで教え説き、今ではこの国の要ともなる人物になっていた。
何処の者とも判らぬものを国宮に、まして要に据えるとはと反論されたが長は取り合わなかった。正博の頭の良さと人となりを汲んで推したのだと、喧しい家臣達を説き伏せた。まだ年若い正博だったが実際、彼に勝てる者はおらず、家臣達は認めざるを得なかったのだが……

今では長は、老齢とは行かなくても年を取った等と言い、家長を息子達に譲り、呑気に隠居生活をしていた。





器の大きな人物に拾われたこそ、自分は今、生きていられるのだと。
ここに立ち、流れてきたと思わしき海を見詰められるのは、長のお陰だと正博はこの太陽に祈りを捧ぐ。
なかなかと戻らぬ記憶に苛立ちはするが、このまま知らずに此処で生を全うしたいとも思うのであった。

短く整えられた漆黒の髪と、身に纏う真綿色した衣は潮風に揺れ、細く儚くある正博もまた、潮風に揺れていた。







「……あっ……っ!!」

と、その時。
正博の首もとを彩る藍色したストールが、海からの強い風にさらわれ、空を舞った。
咄嗟に手を伸ばしたが届かず、それは海の彼方へと連れ去られてしまった。
――――大切なものなのに!!

正博は、そう叫ぶ前に海へと足を踏み入れ、取りに行こうとした。しかし強い力で腕を引かれ、前には進めなかった。そうしているうちに、藍色のストールは、沖へ沖へと流され、もう見えなくなってしまった。

「危ないだろう」

「……でも、あれは……」

「良い。ああいう物は、買えるが……お前は、お前だけだ。正博が、海に入った瞬間、消えてしまいそうで……」

―――――俺は怖い。
そう言った人は、正博の身体を背から抱き締める。そして、遠くへ行ってしまわない様に腕の力を強め、更に抱き締めるのだった。




朝の海
20130908






サクナルのなんちゃって主従話の、コバサワ版。

出している本ではサクナルばかりですが、隣国の長が小林長男、次男は補佐で、その次男に付いてるのが澤村、な図式。


どっか…ネットにあげてたかな?
コバが、自分と現長の兄ちゃん比べて…な話を書いていたかも…知れないです←整理しろよ、blog!!



そんな訳で、こんなのも書きたいんだよ。
一応、澤誕祝い続いてたよ、な小話でした(笑)




判りづらくてすみません。
でも私のなかでは…澤村の対は、小林さんでしかないので…名を出さずして書いてしまい、失礼しました!!



少しでも楽しんでいただければ、幸いです…





男前が台無しになるくらい大口開けて欠伸をする澤村は、だらだらと学校目指して歩いていた。
昨日までが夏休みで、今日から二学期が始まる。
まだ式の時間には早いが、部活の朝練で出来た身体だ。ゆっくり寝ていても良かったのに目が覚めてしまい、する事もなく家を出てきたのだ。

「おっはよー、澤村!!」

「……うっす。くぁぁぁ~……」

同じく目が覚めてしまったのだろう、クラスメートの成瀬が後ろから走って来て、声をかけた。
夏休み中も嫌と言うほど顔を見ているのに、この気分が良い朝にまで、このアホ面を見なければならないのかと澤村は思う。
隣から話しかけてくる内容に、適当に返事しては欠伸をする。
呆れられているとも露知らずか、はたまた鈍感なだけか、成瀬は他愛ない事をあれやこれやと話は続く。

「澤村、寝不足?」

「かも知れねぇなぁ……」

雑談し続けていた成瀬は、ずっと欠伸をしている澤村に気づき、問い掛けた。返ってきた答えにふーん、と目尻を下げて気持ちの悪い笑みをする。

「何だ?気持ちわりぃ……」

嫌そうな顔をしている澤村の首筋辺りを指差した成瀬は、耳打ちして走り去った。


「てめぇ、覚えてろよーっ!!」


昇り始めた朝日を背に澤村は、左手に拳を握りしめて大声張り上げた。
その声は、明けの空を飛び散り、むなしく消えて行った。





「てめぇんとこの犬、ちゃんと躾しとけっ!!」

「新学期も賑やかだな、澤村。成瀬と何かあったか?」

「朝っぱらから余計なこと、言いやがって……何が『幸福者』だよ、くそっ!!」

「言われても、仕方ないんじゃないかなぁ……と、俺は思う」

「あんたの意見なんて、聞いてねぇから!!」

「でも、お前の緩みきった顔と、隠しているが襟元、見たら何があったか判る。それに一昨日は、誕生日だっただろう?言われても……それは自業自得だ」

自慢のポーカーフェイスが崩れる程に惚れられている小林は、幸福者だな。
そう桜井は、成瀬の言葉をもって澤村を説き、彼の黒髪をかき混ぜて笑む

怒りの赤面と、照れの赤面とがない交ぜになってしまった澤村は、ぐうの音も吐けず唯、立ち尽くすだけだった。





face
20130831





誕生日おめでとう、澤村☆
ちっとパタパタと書いてしまいましたが、お祝いにて。
なんか桜井さんと成瀬に振り回されてばっかな澤村ですが、以外とそんな『体質』の様な気がします。
クールなくせに熱い澤村、大好きでしてよ♪




私は、連載終了間際に入った人間なんですけど……彼らに出逢えて良かった、これからもよろしく!と言葉を贈りたく思います。




駄文で、言いたいことが多分伝わってないかと思いますが、すみません。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。




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