色々と語っております・・・
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水面揺れて、波紋描く。
桜花の精霊舞い降りれば、水華の流れにたゆとう。
御手に掬いしその精霊を、慈しみ愛でる貴方がいた。
桜の古木が、この丘にはあった。
月明かりに照らし出され、藍色した天蓋の下、花を咲き誇らせていた。
淡い光りを携えて、白にも桃にも見える曖昧な色を、徹の瞳に映していた。
古木の傍には池があり、風が舞えば桜の花弁も舞い、水面を彩る。
池の辺に佇んでいた徹は、丘の上に在る古木を見上げ、藍と桃白の色の交わりに感動を覚えていた。
綺麗。
その言葉に今、目の前に広がる風景を集約させる。浮かぶ花弁に吐息と混じれば、宙を舞う風と共に空へと還って行く。
「ほら、こっちにおいで」
春の夜の、まだ冷たい池の中へ足を浸けている修司は、風に舞う花弁を追い駆けていた徹を呼び寄せる。
手招きをして、自分の隣へ来るように、と。
大好きな修司に呼ばれれば、桜との戯れも何のその。徹は、一目散に駆け出し、水遊びをしている修司の元へと駆け寄る。そして、ふわふわとした真白な耳と尾を揺らせ、喜びを現す。
「水、気持ち良いですか?」
「冷たいけどね、気持ち良いよ」
そうなんだ、と頷いた徹は、修司と同じ様に両足を池へと放り出した。
冷たいと言われていたが、考えていた以上の冷たさに、小さな悲鳴を上げてしまう。この水に慣れるまで目を強く瞑り、眉間に皺を寄せる。じんわりと肌に染み込んで行く冷たさに、暫くすると慣れて来る。
冷え過ぎ、耳と尾の毛を逆立て堪えている姿が愛らしく修司は、思わず笑みを零してしまう。それに気付いた徹は、そろそろと瞼を開くと、隣で口元を覆って笑いを隠している修司を睨んだ。
ぶすっ、とした表情をしても、彼の何もかもが愛おしい者としては、その感情を膨らませるだけでしか無かった。
「冷たい過ぎるから、もう止めます……」
修司さんの様には、できません。
徹は音を上げて、池から両足を引き抜く。
冷たくなってしまった肌を摩り、水気を払って暖めた。
隣でごそごそと動いている徹の頭を引いた修司は、自身の腿の辺りに乗せ身体を横たえさせる。
驚いて身体を跳ね上げたが、がっちりと固定された頭は動かす事が出来なかった。
頬に当たる布の肌触りに混じって、温かなものもある。生身の、しかも腕とか掌ならともかく、足元の肌の感触に、徹の気が騒がしくなる。
何とかして気を逸らせようと、冷たさの濃い水の中へ自由でいた手を突っ込む。先程、修司が足でしていた動きを、荒々しく手でして見せた。
しかし、派手な水音をさせて、上下左右に動く掌も、直ぐに静かになってしまう。
「や……っ……」
「暖めるから、大人しくして」
それは嫌だと暴れてみた所で、到底叶うわけも無く、耳も尾も垂れ下げた徹は、真っ赤になりながら身体を小さく、丸くしてしまう。
素足に触れられ、撫でられ、暖められて行く。
修司の掌の温度を、塗り込める様に剥き出しの肌を摩ると、直ぐに反応が返って来る。
徐々に温もりを取り戻し、ぽつぽつと熱の花を開かせていた。
次第に熱が足元から、修司の触れている掌から這い上がり、徹の身体総てを覆い尽くしてしまう。小さな唸りを上げ、熱の逃がし場所を探して蠢く。
「水遊びは、止めたんじゃないのか?」
「今は、この冷たいのが……気持ち良いんです」
ぱしゃり。
水の中に浸けていた手を、徹は再び動かし始める。
先程の様に慌ただしくではなく、舟の櫓を漕ぐ緩やかな動きで、ゆらゆらと水と戯れる。
時折、丸めた掌を水面から引き上げ、水面を漂う花弁を掬う。そして、空へ浮かぶ月を水に映し、桜と共に手中に納めた。
「……どうかしたのか?」
修司は、徹の掲げ上げた掌の内を除き込む。
指の隙間から、小さな水滴を零し、腕を伝い肌を濡らす。
先程まで御足を摩っていた修司の手が、今度は徹の腕に触れ、水滴を払って行く。
ふるり、と揺らめかせた身体に合わせ、掌の中に在る水と花弁と月も、徹の動きに合わさる。
「僕の手に……大切で、大好きなものが総て……」
――――あるんです。
そう呟きを零した徹は、真上にある修司の方へ顔を向ける。瞳が合わさると、うっすらと唇を開き、はにかむ。
その表情は、この藍色の天幕の下で花開く、桜の様に美しく艶やかであった。
吸い寄せられるかの如く修司は、背を丸め顔を降ろして徹の唇を奪い、印を残す様に甘く食んだ。
その時。
徹と修司の合わさった掌は、離れる事無く結ばれていた。
花弁と、月も共に……
桜夜話 / 20110410
はー、疲れた(笑)
もう、書いてる最中から恥ずかしくなってきて、どないしよ~でした。
まま、勢いでやってやるーって…仕上げちゃいましたが。
やっぱり桜の話はね~書きたかったので、今年はサクナルさんで。
しかもワンコ徹。
いや、まだココ……二人、ちゃんと引っ付いてないんだけど?と思いながら、将来を夢見て、夢見すぎて先走り。爆笑。
水面に浮かぶ月と桜が、ただ単に書きたかっただけなんです。はい。
頼りない表現ではありますが、ちょっとでも綺麗な感じが出ていてくれれば…と思います。
もう未熟過ぎて、悲しいですが←何年経っても、これだから(涙)
少しでも楽しんで頂ければ…幸です。
お付き合い、ありがとうございました!!
最後になりましたが、拍手も頂き…
何も無いヘタレサイト、更には仕事でヘタレているので更新もへったくれも無く…失礼しております。
そんな中でも足を運んで下さり、拍手残して頂きありがとうございました!!
まだまだ小話の更新も、こんな感じですが、お付き合い頂ければ有り難いです。
本当に、ありがとうございました!
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