色々と語っております・・・
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(……寒……っ)
眠りにつく前に付いていた空調は、とうの前に切れてしまっているはずなのにと成瀬は、あまりの寒さに目を覚ました。
部屋がしん、としている様子から、やはり空調は切れているのだと判る。
(……夕方、少し寒かったよなぁ)
日中こそは真夏のような太陽が出ているが、夕暮れは少しずつ早くなり、吹く風に肌寒さを覚えるようになっていた。
もうすぐ秋になるのだと帰り道、桜井と話していたことを思い出す。
(引っ掛けるの……どこ……)
自分が使っていた上掛けを、ぱたぱたと手だけを動かして辺りを探す。寝相が良くない所為で、深い眠りの間に蹴り飛ばしてしまい、近くには無いようだ。
良く桜井に注意されるのだが、意識のない内にしているのだと反論すれば、両手足を軽く縛られた事もあった。追加で余計な事もされてしまい、啼かされたのは一度や二度じゃない。
(桜井さんの、ばかっ!!)
やっと手探りで見つけた上掛けは、桜井の眠るベッド脇にまで飛ばされていた。どうも成瀬と同じく寝相は良くないようで、ベッドの縁まで身体が転がってきている。頬をシーツに押し付けた俯せ寝で、だらりと腕だけがはみ出し、床に向かって伸びていた。
何時も凛々しくいて、たまに緩んだ顔をする桜井の、寝姿が見れるのは特権だと成瀬は、まじまじと見詰める。が、直ぐに唇だけを動かして文句を呟く。
肌寒さで目を覚ました割りには、あれこれされたのを思い出し、すっかり身体が火照ってしまった。
悪戯ばかりする桜井の、節だった手を軽く叩く。すると小さく唸り、身体の向きを変えてしまう。
何か夢を見ているのだろうか。
もしも見ているなら、自分が出ていれば良いなと成瀬は、丸くなってしまった桜井の背中を見詰める。
(お休みなさい。俺の大好きな先輩)
声を出さないようにして言の葉を吐いた後輩は、上掛けごと火照った身体を丸めて欠伸をした。
桜井の出てくる夢が見られますようにと願い、再び眠りへ落ちて行った。
寝ても覚めても、あなたが居れば
20130828
ちょっと朝晩冷えてきたので、こんな話。
正直、私ですよ、これ。
桜井さんがいたら嬉しいけど、ポスターとジグソーパズルやらは居ます(笑)
寝るときには何も掛けてないのに、朝になったらタオルケットにくるまっている、ここ二日ほどの桜岡でした…
桜井さんversionも、近々あげれればと思ってます…
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部屋が蒸し、苛々が募ってきた澤村は、夜風にでも吹かれてみようかと窓を開く。
しかし、風は何処からも湧くこと無く、賑やかな騒音だけが部屋に潜り込んで来るだけだった。
更に苛々が募り、勢い良く窓を閉じると、玄関口に脱ぎ散らかされているビーチサンダルに足を突っ込んだ。
「成瀬ん家にでも転がり込んで、クーラーをガンガンに効かせて寝てぇ……」
こんな暴挙に出られる相手は、ヤツぐらいだからな。
パジャマ変わりに着ているタンクトップにハーフパンツ姿の澤村は、そんなラフな格好で街中へと紛れて行く。
部屋の鍵と少額のコインをポケットへ突っ込み、ついでに両手も突っ込んで生温い風に身体を晒していた。纏わり付くそれの所為で、家から僅か数分歩いただけで、後悔する羽目に陥る。じわりと滲み出る汗の感触が気持ち悪く、不快感と苛々が募り募って行く。
「なけなしの扇風機の風と、部屋で仲良くしている方が良かった……」
成瀬の家まで堪えられないと肩を落とした澤村は、踵を返して自分の部屋を目指して歩き始める。
視線を少し上げてみれば、切れかかった街灯が不規則に点滅している公園の前だった。
確か此処に水場があったなと澤村は、涼が欲しい一心で薄暗い公園へと足を踏み入れた。
「……生き返ったぜ」
静まり返っている夜の公園だが時折、人の囁き声と怪しげな物音が響いていたが澤村は、一切気に留めることなく目的の水場へと向かった。
昼間は、傍にある大きな噴水に人が集まっているのだが、今は夜。水を色とりどりの形に噴き出すそれは動きを止め、電灯で存在を主張しているだけだった。
大きな存在の噴水から少し離れたところにある小さな水場で澤村は、蛇口を勢い良く捻り、噴き出す水を手で受け止めていた。
始めは温めの水だったが、暫く出し続けていると仄かに冷たさが混じって来る。着ている物をぐずぐずに濡らしている澤村を、誰も咎める者など居らず、自由気ままに夜の公園で一人、
水浴びを楽しんでいた。
「ちょっと、やり過ぎたか」
それも仕方ないかと暑さの所為に全てして澤村は、水浸しの身体と頭を振る。
すると、水滴は辺りへと飛び跳ね、電灯に照らされて虹色の粒へと変わって行った。
タンクトップを脱ぐと、しっかりと水分を含んだそれを絞り上げ、水気を切りる為に上下に払えば、力は使うが涼やかな風が起こる。それを肩にひっ掛ければ、肌に当たった部分がひんやりとして気持ちが良かった。
一つ息を吐き、心地好い涼にうっとりとしていたが、流石に足元はどうする事も出来なかった。
水の重みが加わったハーフパンツがずり落ちない様に手で押さえ、泥だらけになっているビーチサンダル履きの素足で家へと戻って行った。
その途中。
店の配達で使っている、失礼だから古ぼけた自転車に跨がった、丁髷頭の男に出くわした。
何故、こんな所に居るのかと澤村が問えば、暑さで参っているのでは無いかと心配だから来てみた、と言う。
目の前にいる男は、水浸しで上半身裸に足元は泥だらけの姿に、目を丸くして何があったのか?と聞いてくる。
「部屋が暑かったから散歩に出たら、余計に暑くて公園の水場で、水浴びした」
「……そ、そうか。何も無ければ、それで良い」
――――暑さ凌ぎに、成瀬の所にでも行くつもりだったのかと思った。
そう言った男は、くるりと自転車の向きを変え、漕げば軋む音がするペダルを踏み込んだ。
気をつけて帰れよ。
無口で、自分の思いを上手く伝えられないヤツだと知っている澤村は、男の口から『成瀬』の名が出て……嫉妬しているのだと感じる。
走り出した古ぼけた自転車を追い掛け、追い付くと後ろの荷台に澤村は飛び乗り、裸のままの胸で男の背中にしがみ付いた。
「アンタんちに連れてってくれよ……部屋、暑くて仕方ねぇんだよな」
「……っ!危ないだろうっ!!」
「なぁ……」
「あまりお前の部屋と変わらないぞ。クーラー無いんだからな」
それでも構わない、アンタが一緒なら。
澤村の行動と言葉に男は驚き、ハンドルを取られてしまう。
しかし、揺れた割には動きを止めないでいた自転車は、バランスを保ちながら道を進み続けるのだった。
――――掴まっていろ、と自分の腰に澤村の手を巻き付けながら。
夜の公園
20110714
すみません…がっきーにしてやられてスッカリとハレビモード(笑)←チョロ過ぎる。
それもありますが、夏に向けてのリハビリ。
コバサワって何時まで経っても掴めなくて、動かせなくて大変なんです。
如何せん、あんな二人だから。苦笑。
そんなこんなで、水浴びとか上半身裸が異様に似合う男、澤村でした(笑)
丁髷頭は、嫉妬しても口下手、表現下手…ですが、本音ポロリとさせてみました。
開放的な夏だから←なんか違う。
うわ~
久々過ぎても変わらずドヘタなコバサワ、お付き合いありがとうございました!
夏の夜の、夢現(ゆめうつつ)
淡き光、揺らめいて
愛し子の姿、取り替える
雨が降り、蒸した日が続いていた。
元々体温が高いのか徹は、少しでも涼やかな場所を探し、あっちフラフラこっちフラフラとしていた。
「動くと余計に暑いぞ。これでも使って、大人しくしていなさい」
「ふぁ~い……」
少々、堪え性が無いなと思いつつ桜井は、風通しの良さそうな場所に座り込み、手渡された団扇で涼を取る徹を呆れ顔で見詰めていた。
***
夜になり昼間降り続いていた雨が止み、久方振りに雲無い星空が顔を覗かせた。
先程まで動くのも億劫だと態が語っていたのに、腹の虫が鳴いた瞬間、徹は動き始める。
外見が人とは違い、ふわふわとした耳と尻尾がある彼は、それを揺らして伺いを立てる。修司の傍を行ったり来たり、強請る様な顔をして更に伺いを立てていた。
「……徹、俺を急かすなら手伝いなさい」
薬師でもある修司は、何時もなら徹と共に店に立つのだが、あの腑抜けた姿で店番をさせられないと今日は一人、勤しんでいた。
そろそろ閉めようと片付け始めた時、伺い顔をさせて現われたのだ。
そんな徹へ、両手を腰に当て呆れた口調で手伝いをする様、言い付ける修司だった。
「……ごめんなさい」
自分の事ばかりに気を取られ、すっかり店の事が疎かになっていたと、言われて気付いた徹は反省し、耳と尾っぽと顔を項垂れ謝り手伝いを始めた。
判れば良いんだと修司は、身体を小さくさせている幼子を優しく抱き、髪を撫でてやる。
「はい。じゃ、片付けて食事にしよう」
その一言だけで徹は、沈ませていた顔をぱあっ、と明るいものへと変え、片付けをしっかり手伝うのだった。
二人ですると時間も掛からず店仕舞いは早々に終わり、食事の用意を仲良く始める。
涼しさを出そうと夕餉をさっぱりとした物にし、風の行く様を感じられる縁側で食べようと、二人は仲良く用意をした。
卓を持ち出し惣菜を並べ、育ち盛り食べ盛りの徹には少し多めに、晩酌がてらの食事をする修司は少なめに櫃の飯をよそう。
「頂きまーすっ!!」
一仕事終えた食事は、さぞ美味しかろう。
否。
徹は常に出された食事は、嫌いなものがあろうが綺麗に平らげるのだ。
自分の為に作ってくれているという感謝と、食べさせて貰っていると言う謝罪と。
修司に助けて貰わなければ、今頃、徹は此処に存在していなかっただろうと――――思う。
今日も変わらず元気良く、碗を手にしたまま焼き物や煮物に手を出し、胃袋へと収めて行く。
誰も、前に並べられた惣菜を取りはしないのに、徹の箸の勢いは留まることを知らずにいた。
碗の飯が無くなれば、耳を垂れ下げて修司に伺たて、お代わりを願う。
気にしなくても良いのにと、これまた毎回のように同じ事を言いながら空の碗を徹の手から取り、しっかりと盛った飯を渡してやる。
お礼を言いながらも目はキラキラさせて、少しまだ湯気の上がる飯の虜になっていた。
くすり、とその様を見て笑う修司に気づいた徹は、顔を真っ赤にさせてしまう。
「冷めないうちに食べなさい」
まだ笑っている修司の言葉に頷くと、喉に詰まらせながらも一気に腹へと収めて行く徹だった。
***
食事を終え、食べ過ぎて身動き取れなくなった徹を置いて修司は、ほろ酔い加減の足取りで片付けを一人始める。
これも何時もの事でいて、さして怒りもしなかった。
「可愛さに負けてるな、完全に」
食事前の態度とは酷い違いだと、自分自身に苦笑いする。
使った皿を引き、卓を奥の和室に戻す。洗い物も手早く済ませると、手ぬぐいで濡れた指先や腕を拭きながら縁側へ戻ってみれば、冷たい板敷きの上で寝転がっていた徹の姿が無かった。
おや、と辺りを見渡しても、ふわふわとした耳と尻尾を見つける事が出来なかった。
部屋にでも行ったかと思い、徹が先程までいた場所に腰を下ろした。
雨も上がり、夜の所為だからか昼間のような重苦しい空気ではなく、幾分涼やかな風が漂っている。
さら、と修司の少し長めの髪を揺らせ、肌の上を通り過ぎて行った。
その風は、水の香りも運んで来、また明日は雨が降るのだろうか……と思いながら、酔いも満腹感も手伝って眠気を催す。
欠伸をして徹が転がっていた様に身体を横たえ、板敷きと風涼やかさにとろり、と瞼が下りてしまうのだった。
***
――――ん……
何処からか声が聞こえて来た。
徹のものとは違い、少し低い感じの声に修司は、眠い目を擦り身体を起こす。
横になった後、いつの間にか眠ってしまった様で、気怠さを伴う目覚めとなった。
空気の流れが変わったのか、湿気が食事をしていた時よりも多く感じられる。
夜空に浮かぶ星も、灰色した雲が隠してしまっていた。
そのかわり、庭先に青白い光りが幾つか浮かんでいた。
「――――蛍火か」
生暖かい風に乗る蛍は、その流れに身を任せ、ゆらゆらと揺れていた。
時折、疲れを癒すように、庭にある小さな池の周りに茂る草に、寄り添い留まる。
蛍火の艶やかさを修司は、星空の変わりに暫く見つめていた。
「起きましたか、修司さん?」
そうだ、と掛けられた声を耳にして、思い出す。
徹の声のようでいて違う様な、その在り処を探そうとしていた筈だが、蛍火に気を取られてしまっていた。
庭先を彩る蛍火の向こう、闇の中に仄かに浮かぶ人影を見つける。
誰だ――――と声を荒げそうになったが、人影は修司の方へと移動してきた。
「……徹か?!」
「そうですよ。やだなぁ……修司さん、寝ぼけてるんですか?」
「お前……は、誰だ?!」
「……え?」
「俺が知っている徹じゃない……俺は、狐か狸に謀られているのか?!第一、徹には耳と尻尾がある!お前には、それがない!!」
「一体どうしたんですか?ずっと一緒に居るのに……俺が『徹』だと信じられないですか?」
――――ほら、此処に修司さんの付けてくれた痕、あるじゃないですか?
そう言った徹の様で、そうではない徹が、ゆったりとした動きで驚き身動き取れないでいる修司へ近づく。
ほんのりと頬を紅く染め、伏し目がちに顔を下げると、両手を胸元へ持ってくる。そして袷を割り開いて、幾つか散りばめられている色濃い痕を見せた。
「――――つっ!!」
均整の取れた身体付きをしている徹の、張りある肌の上に散る小さな紅い痕は、健康的な外見には似つかわしく無いものだった。
それを自分が付けたのか?と修司は、驚愕の勢いそのままに悲鳴を上げてしまう。
目の前に立つ徹の周りは、数え切れない位の蛍が飛び、その火が紅い痕を、なまめかしく笑う姿を浮き上がらせていた。
***
「――――うわぁっ!!」
「だ、大丈夫ですか?!凄く魘されてましたよ?」
「……此処は?」
「やだなぁ、修司さんが寝ぼけるだなんて。家じゃないですか。あーあ、凄い汗だ……」
変な夢でも見ましたか?と、徹は息を荒げている修司に声を掛けながら、手にした手ぬぐいで額に浮かぶ玉の汗を拭って行く。その手が優しく動く度に、落ち着きを取り戻し、辺りを見回して我が家だと認識する。
庭の方へと目をやれば、蛍火がゆらゆらと揺れていたが、先程修司が見た艶やかさは微塵も無く、幼い雰囲気でいる何時もの徹だった。
甲斐甲斐しく世話を焼いている目の前な幼子の、揺れる浴衣の袷を覗き見れば紅い痕は無く、見慣れたふわふわとした毛で被われた耳と尻尾に修司は安堵の息を吐く。
それは、落ち着いたからの吐息だと認識した徹は、盆に乗せて持ってきた茶と、西瓜を差し出した。
「今日、頂いた西瓜……井戸で冷やしていたの、切ってみました」
不器用な徹が頑張って包丁と格闘した結果、なかなかどうしたらこう乱切りになるのだろうかと思うくらい、西瓜は無残な姿になってしまっていた。
指差し苦笑いする修司に、苦笑いで返した徹はうなだれた。
触れた西瓜はひんやりとしていて、一口噛めば甘い水気と実で、汗をかいた身体に潤いが戻っていく様だった。
「とても美味しいよ。用意してくれてありがとう。ご苦労様」
そう言った修司は、柔らかな茶色の髪を掻き混ぜ、徹を褒めた。
褒めて貰えた事が嬉しくて徹は、満面の笑みを湛えて修司を見詰める。
少し色艶があるように見えるのは蛍の所為だと、頭(かぶり)を振り先程見た幻を消し去り、目の前の可愛い人に微笑み返した。
蛍火が揺れる庭先を眺めながら二人は、寄り添い西瓜を口にするのだった。
――――小さな蛍が一つ、徹の浴衣にひた、と張り付き灯を点ければ……肌に紅い痕が浮き上がっていた。
蛍火
20110705
思ったより長くなった…
せくすぃー部長見てたら、手がお留守になってました(笑)
実は、これ…去年書きはじめて、仕上がったの今日!!
書いては止め、放置しては思い出したように始め…今です。涙。
またまたワンコ成瀬でございましたが、蛍が見せた幻は嘘か真か……な、お話でした。
こんなネタで幾つも書いてますが…サクナルでは初めて?かな。
いやぁ~古いものは極力、読み返さない主義なんで←たまに読んだら悶絶してます、酷すぎて。
今でも酷すぎんのは、百も承知ナリ!!
だからイジメないでやってください(T_T)
そんなこんなで…久々にblog散文でした。
お付き合いの程、ありがとうございました!
初めに~
言葉遣いが偽物なんで、コードブレイカーで引っ掛かり、間違えて読んじゃった方…脳内で各自言葉遣い変換してください。汗。
平家先輩、へんてこりんこなカタカナ…今回はナッシングです。
以上、踏まえて…覚悟できた方、したへどうぞ!
ぎり――――と、嫌な歪みが聞こえた。
鋼が埋め込まれ重いはずの腕の先には、人の肌が見える。
人を護る為に、唯一人を護らんとせんが為に、己の腕を鋼に変えた筈なのに……今は、その腕で喉をへし折ろうとしている。
「は……早く、貴方が望む……ままに、しな……さい……」
もう少し力を加えれば、握り締めている喉は、瞬時にその役割の終わりを告げるだろう。しかし、苦しい筈なのに家は、のしかかり喉に手を掛けている刻へ微笑み返していた。
「死ぬのが怖くないのかヨ?!」
更に指先へ力を加え、平家の喉元に痣を刻みながらも問い掛ける。
「貴方に……刻に殺められるなら――――本望」
そう告げ、更に笑みを深くすると、口元を綻ばせた。
苦しい癖に顔色一つ変えない平家に怯んだか、刻は腕から力を抜き、喉から手を離す。馬乗りになったまま、視界がぼやけて行く瞼を、鋼の左手で覆い隠した。
「何で……何で抵抗しねぇんだヨ!! 笑ってられるんだヨ!!」
アンタの力なら、直ぐにでも逃げ出せるだろう。
物言いながら熱く崩れて行く表情を、冷たく硬い鎧で包んで行く。しかし平家は、そんな刻の移り変わりが見えていたのか、思いのほか温かな指先で氷の様な鋼に触れた。
びくり、と反応した左手を、優しい力を持って刻の顔から遠ざける。
小さな身体を腹に乗せたまま、上体を起こして震えている背中を抱いた。
抵抗されるかと懸念したが、少しは心許してくれているのだと思うと、平家の口元の綻びが更に増す。
相手を慈しみ、愛おしい感情を剥き出しにした顔。
刻の肩口に額を押し当て、見えない様にしているからこそ出来る――――誰にも見せたこと無い表情を晒す。
鉄の仮面を被った平家には、あるまじき優しい色を含んでいた。
「貴方だから……藤原刻の為だから逝けるのですよ」
憎しみから生まれる愛情も。
愛おしさから生まれる優しさも。
刹那が繋がり、永久に生まれ変わる。
平家は、どれほどに刻の事が愛おしいかを――――密かに胸の底で平家を想う刻へと吐露してみせた。
刹那と永久の、間。
20110514
変態先輩は、刻の事が憎かろうが、愛しかろうが、何だろうが「大切」なんだと…思いたい、桜岡さんの願望全開(笑)
あの鋼になっちゃった刻くんの腕が衝撃的で…やっちゃった小話。
まさかまさかで…検索で引っ掛かって見ちゃって…言葉遣いなってねぇんだよ!!と思われても、スルーとスルーしてください。殴。
お姉ちゃん護るためにやったのに…私の妄想にかかりゃ、こんな感じです。反省。
なんか、ねねねちゃんが怖くて仕方ないの…桜きゅんより怖くて仕方ないの(T_T)
そんなお姉ちゃんを護ろうとする刻くんは、健気になんだが…裏切られそうでドキドキしてます。
生殺しです…来週休載です…くわっ!!
何が言いたかったか…
最後が言いたかっただけなんです。
瞬間瞬間の好きを繋げたら、ずっと好きに変わるんだろうな~。
そんな思いから書きました。
きっと先輩だけじゃなくて、刻くんにも―――こんな気持ちを吐露してくれる時が来ればいい、と思ってます。
偽物バリバリですが、お付き合いの程、ありがとうございました!!
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ぎり――――と、嫌な歪みが聞こえた。
鋼が埋め込まれ重いはずの腕の先には、人の肌が見える。
人を護る為に、唯一人を護らんとせんが為に、己の腕を鋼に変えた筈なのに……今は、その腕で喉をへし折ろうとしている。
「は……早く、貴方が望む……ままに、しな……さい……」
もう少し力を加えれば、握り締めている喉は、瞬時にその役割の終わりを告げるだろう。しかし、苦しい筈なのに家は、のしかかり喉に手を掛けている刻へ微笑み返していた。
「死ぬのが怖くないのかヨ?!」
更に指先へ力を加え、平家の喉元に痣を刻みながらも問い掛ける。
「貴方に……刻に殺められるなら――――本望」
そう告げ、更に笑みを深くすると、口元を綻ばせた。
苦しい癖に顔色一つ変えない平家に怯んだか、刻は腕から力を抜き、喉から手を離す。馬乗りになったまま、視界がぼやけて行く瞼を、鋼の左手で覆い隠した。
「何で……何で抵抗しねぇんだヨ!! 笑ってられるんだヨ!!」
アンタの力なら、直ぐにでも逃げ出せるだろう。
物言いながら熱く崩れて行く表情を、冷たく硬い鎧で包んで行く。しかし平家は、そんな刻の移り変わりが見えていたのか、思いのほか温かな指先で氷の様な鋼に触れた。
びくり、と反応した左手を、優しい力を持って刻の顔から遠ざける。
小さな身体を腹に乗せたまま、上体を起こして震えている背中を抱いた。
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相手を慈しみ、愛おしい感情を剥き出しにした顔。
刻の肩口に額を押し当て、見えない様にしているからこそ出来る――――誰にも見せたこと無い表情を晒す。
鉄の仮面を被った平家には、あるまじき優しい色を含んでいた。
「貴方だから……藤原刻の為だから逝けるのですよ」
憎しみから生まれる愛情も。
愛おしさから生まれる優しさも。
刹那が繋がり、永久に生まれ変わる。
平家は、どれほどに刻の事が愛おしいかを――――密かに胸の底で平家を想う刻へと吐露してみせた。
刹那と永久の、間。
20110514
変態先輩は、刻の事が憎かろうが、愛しかろうが、何だろうが「大切」なんだと…思いたい、桜岡さんの願望全開(笑)
あの鋼になっちゃった刻くんの腕が衝撃的で…やっちゃった小話。
まさかまさかで…検索で引っ掛かって見ちゃって…言葉遣いなってねぇんだよ!!と思われても、スルーとスルーしてください。殴。
お姉ちゃん護るためにやったのに…私の妄想にかかりゃ、こんな感じです。反省。
なんか、ねねねちゃんが怖くて仕方ないの…桜きゅんより怖くて仕方ないの(T_T)
そんなお姉ちゃんを護ろうとする刻くんは、健気になんだが…裏切られそうでドキドキしてます。
生殺しです…来週休載です…くわっ!!
何が言いたかったか…
最後が言いたかっただけなんです。
瞬間瞬間の好きを繋げたら、ずっと好きに変わるんだろうな~。
そんな思いから書きました。
きっと先輩だけじゃなくて、刻くんにも―――こんな気持ちを吐露してくれる時が来ればいい、と思ってます。
偽物バリバリですが、お付き合いの程、ありがとうございました!!
同室の桜井と馬呉は、頭を抱えていた。
きっと、他の部屋に宿泊している人間も、同じ事で頭を抱えているだろうと思う。
「仕方ないかな」
「そうだな」
自分達が規格外の体格をしていることは、判っている。それに、こういう物は、大抵が同じ作りの物を使っているのも、判っている。
「床にでも寝たい気分だ」
「いっそ、床の方が楽だろうな」
うんうん、と大きな男二人は顔を付き合わせて頷いた。
腕を組み、悩むものの使える寝具は、目の前にあるシングルのベッドのみ。
大会期間中だけなのだから、致し方あるまい。
桜井と馬呉は、用意してくれたホテル側には申し訳ないと思いながら、小さな溜息を吐いた。
**
どんどんどん――――
ドアが打ち鳴らされ、来客を告げる。
馬呉は、先生に呼ばれて此処には居ない。
誰だろうと小首を傾げて桜井は、ドアノブを捻る。
一応、何かがあってはいけないとチェーンが掛けられてある。
はい、と返事をしながら開いてみれば、成瀬が向こう側に立っていた。
「あの……下で、主将が呼んでます」
先輩の部屋に来て、おっかなびっくりしている成瀬は、自分より十数センチ高い位置にある顔を見上げてこう言った。
馬呉の近くにでも居て、使い走りにでもされたのだろう。
バスケ部できっと一番小柄な成瀬を小動物の様に見てしまう桜井は、ついつい、眼鏡の奥にある瞳を細めて、慈愛の念を出してしまう。
「……あの、桜井さん?」
じっと上から目線で見詰められ、どうして良いのか判らないと困り果てた後輩、怖ず怖ず声をかける。
我に還り謝った桜井は、チェーンを外して彼を室内へ入るよう促す。
「何か持って来いとか、言っていたか?」
「いえ、特には」
「そう」
やはり先輩の部屋だから落ち着かない様子で、成瀬は更に縮こまってドアの傍に立っていた。
そんなところに居ないで入って来い、と言ってみたが、頑なな後輩は立ち尽くすだけだった。
部屋の奥からその様子を伺いながら、室外へ出る用意をしていた桜井の視界に、ふと白い物が掠める。
そうだ、と成瀬の立っているドアへ足を向けた桜井は、所在なさ気にしている腕を取り引っ張った。
がくんと身体が振られて驚いた後輩は、足を取られてふらふらとよろめく。
何事が起きたのか判らず、ぼんやりしている成瀬の視界には、先程の景色とは全く違う、ライトと天井が目に映った。
「成瀬で…ぎりぎりか」
「え……此処……」
そして、桜井の顔が至近距離にある。
今、置かれている状況を整理し、把握できた成瀬は大声を上げた。
ベッドへ押し倒され、肩を捕まれ動けないようにがっちりと固定されていた。
「そんな声、出さないで欲しいな」
「でもっ……でもっ!!」
大声は、悲鳴とイコールで結ばれていた。
隣に誰かが居れば、間違いなくこの部屋に飛び込んで来るだろう。
成瀬の声は、ひっくり返り甲高い、まるで女の子の様に聞こえてしまう。
どこか悪い事をしている気分に間違えてなってしまいそうだと桜井は思うも、ベッドの上、両肩を押さえ付けられてジタバタしている姿に見惚れてしまう。
「はっ、離して下さ……うわっ!! 何で抱き着いて来るんですかっ?!」
「うーん……成瀬が可愛かったから、かな?」
「疑問系で俺に聞かないで下さいよーっ!」
散々っぱら先輩に振り回された成瀬は、抱き締められたままベッドの上で添い寝している状態で悪態を付く。しかし、間近で初めて見た桜井の、眠そうな表情に何故か胸が高鳴る。
恥ずかしくて、照れているのが自分でも良く判る。
触れている桜井の体温よりも、成瀬の体温の方が熱く、全身のぼせ上がっていた。
一指たりとも動けない、動かせないこの状況に流されたか成瀬は、桜井の背中へそっ、と腕を回していた。
呼びに行った割にはなかなか下りて来ないと、同室の馬呉に踏み込まれでもすれば、完全に誤解されるだろうな。
頭の片隅で桜井は考えながらも、自分の身体にはサイズが合っていないが、ふかふかとした布団と、成瀬の体温が気持ち良くて欠伸をし始めた。
眠気を催せば、人の身体は重くなる。
成瀬の肌に当たっている桜井の腕から力が抜け、ずしりと重みを増す。
「おやすみ……」
「ちょ、ちょっと桜井さんっ?! 主将が呼んでるんですよっ!!」
「…………好き、だ……な……」
――――るせ。
寝る宣告をした桜井に驚いた成瀬は、回した腕で背中を掴み、揺さぶり起こす。しかし、完全に眠りに入ってしまった。
言葉が寝息に変わる刹那、その口元から零れ落ちた囁きに、揺さぶっていた手は桜井の服を握り締めた。
小さく丸くなっている成瀬を覆い隠すように、桜井の身体は寄り添い丸くなっていた。
おひるね 20110509
追記。
馬呉に目撃されるまえに何故か澤村くんに目撃された成瀬くん。
とっても素敵な、二人の寄り添っている寝顔を写真に収められ……
優しい澤村くんは、売り捌かないでやるから昼飯しばらく寄越せ、と言ったのでした。
はい。
昨日、師匠んとこで売り子ちゃんをしているときにガリガリ書いてました。
実は、三分の二まで出来ていて、さっき残りを書きました。
いやぁ~盛り上がってるときの作業は、早いね(笑)
そんなこんなで、ちょっぴり実話。
こないだの長野旅行。
ホテルに泊まった時、ベッドに転がったらギリギリやったんですわ、真っすぐ寝たら。
私、寝るときは右を上にして丸くなって寝ているので、問題ないっちゃないんですが、桜井さん付近の身長だと絶対はみ出すな、と思った時に出たネタ。
いっちゃん近い身長が成瀬だったので、と、私のシュミより…サクナル。
はしょり気味ではございますが、言いたかった事は書けたから…良いです。苦笑。
ほだされ体質・成瀬くんでございました。
ちょっぴりその気があるから…嬉しかったんだよな(笑)
桜井さん、単に寝汚い人になってしまった…すまぬ。でも、その気があるから押し倒したんだよな(笑)
そして、何やってんだ桜岡!でした(笑)
小話、お付き合いの程、ありがとうございました☆