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(……寒……っ)

眠りにつく前に付いていた空調は、とうの前に切れてしまっているはずなのにと成瀬は、あまりの寒さに目を覚ました。
部屋がしん、としている様子から、やはり空調は切れているのだと判る。

(……夕方、少し寒かったよなぁ)

日中こそは真夏のような太陽が出ているが、夕暮れは少しずつ早くなり、吹く風に肌寒さを覚えるようになっていた。
もうすぐ秋になるのだと帰り道、桜井と話していたことを思い出す。

(引っ掛けるの……どこ……)

自分が使っていた上掛けを、ぱたぱたと手だけを動かして辺りを探す。寝相が良くない所為で、深い眠りの間に蹴り飛ばしてしまい、近くには無いようだ。
良く桜井に注意されるのだが、意識のない内にしているのだと反論すれば、両手足を軽く縛られた事もあった。追加で余計な事もされてしまい、啼かされたのは一度や二度じゃない。

(桜井さんの、ばかっ!!)

やっと手探りで見つけた上掛けは、桜井の眠るベッド脇にまで飛ばされていた。どうも成瀬と同じく寝相は良くないようで、ベッドの縁まで身体が転がってきている。頬をシーツに押し付けた俯せ寝で、だらりと腕だけがはみ出し、床に向かって伸びていた。
何時も凛々しくいて、たまに緩んだ顔をする桜井の、寝姿が見れるのは特権だと成瀬は、まじまじと見詰める。が、直ぐに唇だけを動かして文句を呟く。
肌寒さで目を覚ました割りには、あれこれされたのを思い出し、すっかり身体が火照ってしまった。
悪戯ばかりする桜井の、節だった手を軽く叩く。すると小さく唸り、身体の向きを変えてしまう。
何か夢を見ているのだろうか。
もしも見ているなら、自分が出ていれば良いなと成瀬は、丸くなってしまった桜井の背中を見詰める。

(お休みなさい。俺の大好きな先輩)

声を出さないようにして言の葉を吐いた後輩は、上掛けごと火照った身体を丸めて欠伸をした。
桜井の出てくる夢が見られますようにと願い、再び眠りへ落ちて行った。





寝ても覚めても、あなたが居れば
20130828




ちょっと朝晩冷えてきたので、こんな話。
正直、私ですよ、これ。
桜井さんがいたら嬉しいけど、ポスターとジグソーパズルやらは居ます(笑)

寝るときには何も掛けてないのに、朝になったらタオルケットにくるまっている、ここ二日ほどの桜岡でした…



桜井さんversionも、近々あげれればと思ってます…








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