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パキン、パキン。
細長いクッキー生地にチョコレートをコーティングした菓子を、正太郎は心地好い音をたてて食べていた。
窓の外を降り落ちている雪を見詰め、心此処に在らずな顔をして唯、食べ続けていた。
手にした菓子が消えてしまえば、また新しいものを手にし、口へと運ぶ。
その繰り返し、繰り返し。
正太郎が菓子を食べ続けるのと同調しているのか、雪も降り止むことを知らず、町を徐々に白く染めていった。

(早く帰って来ないかな――――さん……)

日頃、呼び捨てにしている歳上の相手に、珍しく正太郎が『さん』と付ける。


パキン。パキン。


部屋に一人残され、胸の内に張り付いた寂しさと、なかなかと戻らない事に対する溜め息を、溢してしまわない様に菓子で口を封じる。
しかし、床に散らばっていたものは一本、また一本と正太郎の中へと消えて行く。

(……あ、もう無いや)

最後の一本になった菓子を唇に挟んだ時、心の呟きと共に涙が一粒、頬を伝い落ちた。






「一人にして悪かったな」

そう声が耳に届いた瞬間、後ろから伸びてきた大きな手のひらは、柔らかな頬を伝った涙を払い包み込む。そのまま上向かされた正太郎の目には、待ちわびた人の顔が映り込む。
文句の一つを、何時ものように名を呼び捨てて言おうとしたが、口にある菓子が邪魔をして叶わなかった。
それどころか……
正太郎の唇に挟まれていた菓子の端を噛み、唇が触れるか触れないかの際どい所まで『パキン。パキン。』と食べてしまうのであった。




折れそうな心、折られた菓子。


20131110







う~
解りづらくてすみません~
本当は正太郎君と大作君でポッキーゲームなんぞさせて、負けん気お互い出しちゃって収集つかなくなり、あわや!の所で二人のケンジが止めるのを考えたんですけど…
蓋開けたらセンチメンタル正太郎くんでした。
あは。


ご無沙汰してしまっているんですが、A嬢に捧げたいと思います。勝手に。
ま、見てらっしゃらないだろうから…こっそりプレゼントしときます。
彼女ならほんとは大作君で…なんだけど、ごめんなさい、オバサン力量なくて…苦笑。



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