色々と語っております・・・
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あいたい。
アイタイ。
逢いたい。
自分の弱さを認める訳ではないが成瀬は今、日本と言う枠を越え海外で活動をしている桜井の事を思い浮かべている。
高校を卒業して、大学も決まっていたのに休校をしてまで、外の世界へ飛び出したかったのかと考えると、悲しさと腹立たしさが入り交じる。
せっかく想いが通じたのに、いきなりの別れ。しかも、期限の無いものだった。
「逢いたい……」
桜井が海外へ行ってから過ぎた日々は僅かで、日本では夏休みに入ろうかと言う季節を迎えていた。
日に日に鬱陶しい顔付きを露わにする成瀬へ澤村は、苛々しながら逢いに行けと尻を叩く。
しかし、日本の何処かならばともかく、相手は海外だ。
資金も要れば、パスポートも要る。
パスポートは、何かの為にと桜井が旅立った後、成瀬は短期間のバイトで獲たものを使い持っていた。
しかし、飛行機代や……今、桜井がどの国に居るのかすら判らない状況で、逢いに行けと言うのは無理難題である。
澤村も、そんな状況の成瀬と桜井に厳しくは言えないなと諦め、少しの優しさで愚痴くらいは聞いてやると宥めるのだった。
そんな話があってから数日後。
その日は日曜で部活も無く、雨が降りそうなどんよりとした空模様にフープにも行く気になれず成瀬は、部屋でぼんやりと過ごしていた。
黒雲の渦巻く窓の外を見、この空を自由に飛べれば良いのに……直ぐに桜井の元へ飛んで行くのに……と成瀬は考え続けて落ち込んで行く。
「徹、手紙よ」
心此処に在らずでいたせいか、郵便屋のバイクの音も、呼ばれていた声にも全く気付かずにいた成瀬は、部屋に手紙を持ってやって来た母親の姿に驚いた。
ぼんやりしているからでしょうと少し咎められた成瀬は、手渡された手紙がエアメールだと判った瞬間、嬉しい気持ちと悲しい気持ちが交互に体内を駆け巡っていた。
「……久し振りだな、桜井さんの手紙」
封を丁寧に切り中身を取り出せば、ほんの数行の手紙と……航空券がひらりと床に落ちた。
慌てて拾い上げた成瀬は、手紙に目を通し、うっすらと涙を浮かべる。
「俺だけじゃ無かったんだ……同じ気持ちで良かった」
薄い紙には『逢いたい。休みになったら来ないか?』とだけ書かれていた。
成瀬の心が晴れたように、黒雲の広がる空には青が戻っていた。
『きもち』
20110517
ちょっと半分寝ながら書いていたので、適当設定極まりない(特に)です。
ごめんなさい。
キスにしようかな~とか最初考えていたんですが、移動しながら久々に聞いた曲から、中身を変えました。
ハラダトモヨの「早春物語」
凄い声とか、曲調も綺麗ですが…悲しい曲なんです。
曲は、会いたくても会えないですが、成瀬と桜井さんは会いたくて会える、にしました。
自分で選んだ道だけど、成瀬に会えないのは…やっぱ寂しいやろ、と思ったのでした。
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