色々と語っております・・・
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うーさぎ、うさぎ
なに見て跳ねる?
「跳べ、成瀬!!」
ボールをパスされた成瀬は、二度三度ドリブルをしてタイミングを計る。
片足で地面を踏み切り、ゴールポストまでの短い空中散歩をする。
綺麗な弧を描き、成瀬の背は太陽の光を受け、輝かしい羽が浮かび上がっていた。
人助けをした成瀬は、その人を庇い自分が怪我をしてしまった。
身体の方は打撲で済んだのだが、足を痛めてしまい暫く入院していた。
徐々に回復してくると、今まで使っていなかった筋肉を鍛え直し、またバスケットボールが出来るようにとリハビリを始める。
頑張った甲斐と、回復力が早かったか、医者からは大丈夫だとお墨付きを貰ったのだが、どうしても跳ぶことが怖くて成瀬は、他のことは出来ても、シュートを打つことが出来ずにいた。
また、怪我を振り返してしまうのではないかと言う不安に苛まれ、苦しみもがいていた成瀬を桜井は時には励まし、時には叱咤をし見守ってきた。
この試練を乗り越えるのは、成瀬自身。
桜井は、躊躇う成瀬の肩を抱き、耳元で呪文を唱える。
『大丈夫、自分を信じて……俺の言葉を信じて。跳べる、絶対に成瀬は空を跳べる!』
そして――――
「桜井さんっ!!」
「大丈夫か?」
「すっ……すみませんっ!!途中でバランスが……」
久々に空を駆けた成瀬の身体は、とても美しく桜井は眩しいその様を見とれてしまう。
一つ一つの動きを目に焼き付け、ゴールを決める瞬間までを見逃さずにいた。
がたん、とボールが収まった音を立てたと同時に成瀬の気も緩んだか、上体のバランスが崩れ空から落ちてきた。
ゴール下に居た桜井は、その身体を受け止め成瀬を庇い地面へと沈んだ。
身を呈して守ってくれた桜井に乗り掛かったまま成瀬は、心配で泣き出しそうな表情で下にある彼の顔を見つめる。
「大丈夫、大丈夫。それより成瀬、綺麗に跳べたな」
「――――桜井さんが此処にいて、見守ってくれたからです」
覗き込んでくる成瀬の不安を取り除いてやるために桜井は腕を伸ばし、柔らかくて茶けた髪を撫でてやる。
すると、少し安心したのか成瀬は、小さな溜め息を吐いて……桜井のしっかりとした胸元に頭を預け、目を閉じたのだった。
『うさぎ』
20120513
最初考えていたネタとは変わりましたが、最後は…桜井さんの腕のなかに収まる成瀬の図だったので、勝手に良し、としておきます。苦笑。
その考えていたネタは、また後の単語で使うと致します。
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