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色々と語っております・・・
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雨の中、見慣れた背中を見つけた。
車の行き来が激しい交差点の、信号機のたもとにうずくまっている。
傘もささずにずぶ濡れで、身動きひとつしなかった。
出来るだけ驚かさないようにとは思ったが、名を呼んだ瞬間、身体が揺れ動く。

「……何かあったのか?」

雨音と車の跳ね上げる水しぶきに俺の声も掻き消されそうだったが、辛うじて聞こえたようだった。
ゆらりと濡れそぼった身体を起こし、俯いたまま振り返る。
決して俺の顔を見ようとはせず、腕に抱いたタオルの中をずっと覗き込んでいた。

「……こいつ、俺の目の前でさ……」

タオルの端を指に掛け引き下ろすと、中にはもう息の無い子猫が居た。傷だらけになっている様子と、場所が場所だけに何が有ったか容易に判る。
泣きたいのを必死で我慢している姿に俺は、傘の中に入れてやり、然るべき場所へ行こうと伝える。
このままでは駄目だと判っているのだろう。
一人きりだと悲しくて、どうして良いか判らずにいたみたいだか、俺の言葉に頷きゆっくりと足を進め始めた。
遅れ遅れではあるが、覚束無い足取りで後を付いてきた。








役場の人には迷惑を掛けたが、無事に子猫を見送った。
濡れたまま役所に入る訳には行かず、玄関先まで出てきて貰い事情を説明する。
本来なら断られるだろう所だったが、親切な人で手厚くしてもらった。

「辛いが帰るぞ……お前が風邪を引いてしまう。親切にして貰って良かったな」

濡れた黒髪の滴を弾くように、少し強めにそれを撫でた。
嫌がる素振りもせず、唯、されるがままだった。
まだ降る雨の中へ、傘を差して歩き出そうとした時、シャツを軽く引かれ足止めをされた。
どうしたのかと問う前に、終始俯いたままにしていた顔を上げ、自慢のポーカーフェイスを台無しに泣いていた。

「……あんたは……俺を一人きりに……しねぇ……よ……な……」

最後の方は、泣き声に潰され言葉としては聞き取りくい感じになっていた。しかし、今までの生い立ちを知っている俺には、伝えようとしている事が痛いくらいに判ったか。

「大丈夫だ。お前を一人きりには絶対にしない……だから安心しろ、澤村」

自分でも恥ずかしい事を言っているのは、百も承知だ。
だが、目の前で雨に濡れ、か細く在る澤村に強い意志を示して見せる。

「安心して良い……信じろ」

まだ不安気に揺れている濡れたままの澤村を俺は、腕(かいな)に抱き止めた。


雨はまだ降り止まず、俺達を濡らし続けている。




『かいな』
20120516



すみません、こんな展開と言うか、事故の多い昨今にはどうかな?とは思ったんですが、ネタ振りが出来なかった若輩者です(T.T)



コバがカッコ良く出ていたら良いなぁ~と期待を込めて、結構澤村に対して強気ちゃんにしました。
普段ヘタレやから←私が書くと特に…





出来るだけ生々しい事は省いたので、あやふやなヶ所ばかりだと思いますが、少しでもコバサワ楽しんで頂ければ幸いです。

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