色々と語っております・・・
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文化祭が始まった。
バスケ部は、澤村と希理子さんの目論見もあり、執事喫茶をする事になった。
澤村目当てに来るお客さんの女の子でいっぱいになるんだろうと俺が思っていると、希里子さんがにやにやしながら耳元で囁いてきた。
「おいおい、サル……うちのバスケ部は、澤村だけが目当てじゃないよ。桜井はもちろんだが、今川や小林なんかも影で人気があるんだぜ」
ほくそ笑む希理子さんほど怖いものは無く、俺は無言で首を上下に降った。
判ったかと言わんばかりの表情で、さっさと準備を済ませてチラシを配って来いと指示される。
俺は、大慌てで用意された衣装に着替えて部室を飛び出した。
「凄いお客さんね、なるちょ」
「……にしても澤村の周りだけ、殺気漂ってねぇか?」
「だって、女の子達が離れないんだもん……」
澤村にしてみれば、希里子さんとの裏取引が出来ているから、そりゃ頑張る筈だよね、と俺は思った。
でも、その手にしたものは、澤村にとっては生活の糧になるものだから、誰も咎めないし、小林さんですら怒らなかった。
桜井さんに至っては、冗談でもっと呼んでこようか、とか言う有り様。
遊びに来てくれた楠田さんや浩介は、目を点にして取り囲まれている澤村を眺めていた。
「で、なるとは……ウェイターなんだ」
「うん。これでも普段着ない格好だから、恥ずかしいんだけどね」
「十分可愛いと思うんだけどなぁ……裏方にしておくの、勿体ないわ」
「あ、ありがとう楠田さん。でも、俺、みんなみたいに上手く女の子の相手が出来ないから」
――――なら、傘張り浪人はどうなるんだ?!
ぼそっ、と二人はそう声にして苦笑いしていた。
そろそろ行くね、と俺は楠田さんと浩介に手を振ってキッチンへと戻った。
二人は、俺が慣れない手つきでコーヒーを入れたり、お皿を片付けたりしているのを見ていて、目があったら笑って頑張れと合図を送ってくれる。
俺も、頷いて仕事をこなしていった。
桜井さん達は、黒のタキシードを着て手には真っ白な手袋をしていた。その手で、お客さんでやって来た女の子達の手を取り、テーブルまで案内をする。そして手製のメニューを開いて見せ、オーダーを受ける。
俺達裏方は、それを用意して銀のトレーに乗せて出す。すると、オーダーを受けた執事役の人が、お客さんの前に並べて出す。
その間、会話をしたり写真の希望があれば一緒に撮ったり、もっと上のサービスも希望されれば執事役の人達は応えていた。
「わっ、ワルツもありなんだ」
楠田さんがシュウ……桜井さんと踊ってみたいと呟いた瞬間、浩介の顔が真っ青になっていた。
冗談よ、と笑って見せていたけど、興味ある素振りをしていた。
頼んでみようか?と聞いたら、楠田さんは怒られそうだから嫌だ、と俺の背中を突き飛ばした。
相変わらずお客さんは絶え間無く来て、執事役の人達は交代で休憩を取っていた。
小林さんがワルツ、と澤村は大笑いしていたけど、特訓の甲斐があって凄く綺麗な姿勢で踊っていた。
きっと澤村、内心腹立ってるんだろうな、とかぼんやり考えながら準備をしていると、桜井さんが休憩を取りに裏へやって来た。
「お疲れ様です。大変ですね……ずっと女の子達の相手で」
「成瀬は、楽しそうにみずき達と話していたじゃないか」
ちょっと怒ったような口調で、俺の言葉をあっさりと無視する。
大変な時に遊んでしまってすみませんでした、と謝れば、今度は眉間に深い皺を寄せて睨まれる。
「俺、桜井さんが怒るような事……しましたか?知らないうちにしていたら、すみませんっ!!」
思い切り頭を下げて謝れば、目の前から笑い声が聞こえてくる。
恐る恐る顔を上げれば、桜井さんは少し困ったような顔をして笑っていた。
訳が判らず首を傾げていると、焼きもちは妬いてくれないのかと言われた。
「焼きもち妬きたくても、仕方無いですよ……」
こればかりは行事なのだからと俺は、分からず屋の桜井さんから顔を背ける。
澤村と小林さんだって絶対、後で喧嘩してるに違いないんだから。
それくらい、頭の良い桜井さんなら分かっているのに、俺にこんな酷いことを言ってくる。
「良かった……成瀬がちゃんと妬いてくれていて」
――――嬉しいよ。
そう言って桜井さんは手袋をしたまま俺の手を取り、誰にもしていないサービスを俺だけにしてくれて、捌けたら二人きりで踊ろう……と言ってくれた。
「おどろう」
20120515
ちょっと考えていた話からずれたけど、執事桜井さん書けた~♪
コバに執事が務まるのかというツッコミは無しよ、と言うことで(笑)
ここの喧嘩は怖そうだわ…お金の為とは言え、矛盾して小林さんにぶちギレしそう…ガタブル。
こちらは、焼きもち妬いてる成瀬と、焼きもち妬いてくれていて安心してる桜井さんでした。
成瀬に対するサービス、ほどほどに(笑)←ちゃいますよ~手にキスして、ちゃんと捌けたらワルツ踊るだけですよっ!!
(なに、この言い訳?!)
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