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……皆が、俺を避けている。

この梅雨に突入したじめじめとした時に、更にじめじめとした事態に成瀬は陥っていた。
最初は忙しいだけだろうと思っていたが、スクラッチの面々はともかく、桜井や小林まで余所余所しい素振りをし始めたのだ。
自分が気付かぬ内に、何かを仕出かしていたのだろうか。
日頃、能天気な成瀬も流石に悩まざるを得ない、皆の避けっぷりであった。



そんな、ある日。
ずっと一人取り残されていた成瀬は、桜井と偶然部室で一緒になり、思い切って話し掛けてみた。
話し掛けること自体も、凄く久し振りの様な感じで、想いを通わせていても遠くに思えた人だった。

「桜井さん、話、聞いて貰えますか?」

「どうしたんだ一体。そんなに改まって……らしくないなぁ」

らしくなくさせているのはあなた達でしょう、と口を滑らせそうになるも堪え、出来るだけ平静を装い端的に質問する。

「俺の事、避けてませんか?」

「何を言い出すかと思ったら……ある訳ないだろう?成瀬が嫌いなら俺は今、こうして一緒に居ないさ」

にこやかに返答はするものの、視線と気持ちは上の空。いつも目を見て話す桜井のそれは泳いでいて、余所余所しい雰囲気満載だった。

「もう良いですっ!!お疲れ様ですっ!!」

両肘を付けている机を思いきり叩いて成瀬は怒鳴り、荒々しい所作でバックを方から担ぐと、部室のドアを開け放った。
大きな音をさせて開け放ったまま出て行くその背中を桜井は、唯、言葉なく見送る。
追い掛けたくとも、追い掛けられない事情がある。
その事情の一部始終を知る小林が、開け放たれたドアの向こう側にいた。

「お疲れ様でしたっ!」

あなたもグルなんでしょう?と言う強い視線で睨み付けた成瀬は、呆気に取られている小林に無理から挨拶をして帰って行った。

「相当、怒ってますね」

「俺も上手く自分を偽れなくてね……」

「桜井さんでも成瀬に掛かれば、無理でしょう?」

「正直、きついな。でも明日になれば……誤解が解けるだろうと、思いたい」

桜井は、付いた両肘の内側へ頭を潜り込ませ、盛大な溜め息を零した。
小林も、相当参っている桜井に大丈夫ですやよ、と言葉を掛ける。
明日は、成瀬の誕生日。
仲間達からのサプライズ祝いのために、皆で避けた素振りをして見せていたのであった。




「なかま」
20120609




すみません、ちょっと疲れた(;^_^A
友達、仲間に祝われる誕生日も嬉しいけど、やっぱ一番は桜井さんのお祝いだよね~


今朝、仕事へ向かう地下鉄の車内で、半分寝ながらこの続きを本で出そうかどうしようか…と思ったんで、ここで止めました。

絶対長くなるし、出来れば小話の「しよう」を踏まえて書きたいかな?と自問自答してます。

しよう、はまず無理だろうけど、ちょいとチャレンジャー精神が芽生えた桜岡でした←ヘタレやから一週間じゃ無理です。苦笑。




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