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椅子に腰かけている澤村の身体が、前後左右に揺れ動いている。
よほど部活で疲れたか、バイトが忙しいのか定かではないが、夢うつつと顔が語る。


「こんな所で居眠りするなら、さっさと帰って寝ろ」

澤村の肩に手を置き、早く帰らせようと小林は何とかして目を覚まさせようとする。しかし小さな唸り声を発するだけで、愚図っていた。
これは暫く寝かせておいて、眠気が覚めた頃に帰した方が良いのか。
小林は、目の前で揺れ続けている澤村を見、思案する。

「……仕方ない」

溜め息を一つ吐いて、鞄の中から読み掛けの小説を手にした小林は、静かに澤村の横に腰を下ろした。すると揺れていたその身体は、小林の肩へと寄りかかり安定する。
人の体温が心地好いのか澤村は、小林の肩口へ頬を擦り寄せる。
一瞬、どきりとした小林の身体が揺れ、緊張で体温が上がったのを自分自身で感じた。
澤村はと言うと、小林の事など我知らず、穏やかな寝息を立てて熟睡してしまっていた。

「おやすみ……正博」

少し恥ずかしいか、小さな声で滅多呼ばない澤村の名を口にした小林は、起こさないように髪をひと撫でし、手にした小説を開くのだった。




『いす』

20120511




いっつあ、おひるねたいむ~(笑)
ちょっと肩借りて眠っている澤村を見てみたかったのでした…


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