色々と語っております・・・
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☆ふいに、あいたいとおもった。
成瀬に逢いたくて、適当な理由を考えながら一年生の教室へと来てみた。
中に居た澤村に聞けば、腹が減ったとか騒いでいたので食堂へ行ったのではと言う。
三年生で尚且つ長身の桜井を、遠巻きに見ては驚いている二人のクラスメイト達に目配せし、軽く礼をする。扉の鴨居で額を打ち付けないように頭を屈めて教室から出れば、廊下の向こうから顔を見たかった成瀬が走って来た。
「桜井さん、用事ですか?」
「うん、まあ……」
素直に逢いたかったと言うべきか、別に用意した答えを言うか。
濁した返事をすれば、成瀬は何だろうと言う顔をして、桜井の顔を見上げてきた。
その表情が愛らしくて満足した桜井は、成瀬のふわふわした髪を撫で、また放課後にと言葉を残して自分の教室へと帰って行った。
☆ふいに、てをつなぎたいとおもった。
桜井さんの手は、とても大きい。
身長高いし、バスケもやってるからか判らないけど、俺の頭なんて一掴みって感じだ。
ボールで突き指とかしてるからかな、関節が太くなってる。指も長くて、とても器用に動いている。
「どうした、成瀬? 俺の顔に何か付いてるのか?」
「す、す、すみませんっ! 違うんです! あの、手が……」
「手?」
「はい。手が大きいなって思ったんです。繋いでみたいな……って」
思わず考えていることをそのまま口にしてしまった俺は、顔が熱くて真っ赤になっていると思う。
しまった、と口を塞いでも遅くて、桜井さんの視線が痛くて逃げ出した。
「逃がすと思うか、この手が?」
「離し、てっ……嫌だっ!」
パスされたボールを胸で受け止めるみたいに桜井さんは、逃げようとした俺の背後から手を伸ばして、腋の下を通り抜け、胸の前で指を組んで引き寄せた。
頭の上に桜井さんが顎を乗せているのだろう、こつん、と固い感触が当たる。胸元に納められた俺を抱き締めている大きな手は、シャツの上から身体のあちらこちらを撫でてくる。
「さくらい、さん……やだ……」
手を繋ぎたかっただけなのに……
桜井さんと手も身体も繋げて、俺は溺れてしまった。
☆ふいに、きすがしたいとおもった。
成瀬が、拗ねている。
頬を膨らませて唇を尖らせ、俺から顔を背けてつん、としている。
いったい何を怒っているのか皆目判らず、どうしたものかと腕を組む。
暫く、そんな成瀬の様子を黙ったまま見詰めていると、俺が気になるのか目線だけで伺い立ててくる。
ちらちらと目線を送ってくる癖に、目が合えば顔を背けてしまう。
「一体どうしたんだ、成瀬? 機嫌が悪いのは判るが、言いたいことがあるのか?」
「言いたいことは、山ほどあります。言えばきりがないから、ひとつだけ……」
──桜井さんが格好良くて、悔しい事です。
そう言った成瀬は、サイズの合わない俺のシャツを着た身体を、寄せて来た。
首に両腕を巻き付けて真摯な眼差しで正面から顔を見据えられると、こちらが恥ずかしくなり顔を逸らせてしまう。
「格好よくて悔しくて……でも今は、凄く可愛いです」
照れている顔をさせているのは誰でもない自分だと満足した成瀬は、尖らせていた唇を解いて何時もの無邪気な笑顔をして見せた。
可愛らしいその様にキスがしたいと思った俺は、成瀬が着ているシャツの裾から手を忍び込ませて腰を掴む。
「でも成瀬の方が、俺よりもずっと可愛いから」
「やっ……ま、たっ!」
先程、この手で溺れていた成瀬を再び溺れさせると、真っ赤な顔をして目蓋に力を込めて瞑り、か細い嬌声を上げている唇にキスをした。
ふ(ふいに)
20170614
フライングですが、成瀬誕生日おめでとう~?
ちょっと詰めが甘いけど……ごめん(苦笑)
可愛くべたべた出来たので、私は満足だよ(笑)
小話、お付き合い頂き、ありがとうございました!
成瀬に逢いたくて、適当な理由を考えながら一年生の教室へと来てみた。
中に居た澤村に聞けば、腹が減ったとか騒いでいたので食堂へ行ったのではと言う。
三年生で尚且つ長身の桜井を、遠巻きに見ては驚いている二人のクラスメイト達に目配せし、軽く礼をする。扉の鴨居で額を打ち付けないように頭を屈めて教室から出れば、廊下の向こうから顔を見たかった成瀬が走って来た。
「桜井さん、用事ですか?」
「うん、まあ……」
素直に逢いたかったと言うべきか、別に用意した答えを言うか。
濁した返事をすれば、成瀬は何だろうと言う顔をして、桜井の顔を見上げてきた。
その表情が愛らしくて満足した桜井は、成瀬のふわふわした髪を撫で、また放課後にと言葉を残して自分の教室へと帰って行った。
☆ふいに、てをつなぎたいとおもった。
桜井さんの手は、とても大きい。
身長高いし、バスケもやってるからか判らないけど、俺の頭なんて一掴みって感じだ。
ボールで突き指とかしてるからかな、関節が太くなってる。指も長くて、とても器用に動いている。
「どうした、成瀬? 俺の顔に何か付いてるのか?」
「す、す、すみませんっ! 違うんです! あの、手が……」
「手?」
「はい。手が大きいなって思ったんです。繋いでみたいな……って」
思わず考えていることをそのまま口にしてしまった俺は、顔が熱くて真っ赤になっていると思う。
しまった、と口を塞いでも遅くて、桜井さんの視線が痛くて逃げ出した。
「逃がすと思うか、この手が?」
「離し、てっ……嫌だっ!」
パスされたボールを胸で受け止めるみたいに桜井さんは、逃げようとした俺の背後から手を伸ばして、腋の下を通り抜け、胸の前で指を組んで引き寄せた。
頭の上に桜井さんが顎を乗せているのだろう、こつん、と固い感触が当たる。胸元に納められた俺を抱き締めている大きな手は、シャツの上から身体のあちらこちらを撫でてくる。
「さくらい、さん……やだ……」
手を繋ぎたかっただけなのに……
桜井さんと手も身体も繋げて、俺は溺れてしまった。
☆ふいに、きすがしたいとおもった。
成瀬が、拗ねている。
頬を膨らませて唇を尖らせ、俺から顔を背けてつん、としている。
いったい何を怒っているのか皆目判らず、どうしたものかと腕を組む。
暫く、そんな成瀬の様子を黙ったまま見詰めていると、俺が気になるのか目線だけで伺い立ててくる。
ちらちらと目線を送ってくる癖に、目が合えば顔を背けてしまう。
「一体どうしたんだ、成瀬? 機嫌が悪いのは判るが、言いたいことがあるのか?」
「言いたいことは、山ほどあります。言えばきりがないから、ひとつだけ……」
──桜井さんが格好良くて、悔しい事です。
そう言った成瀬は、サイズの合わない俺のシャツを着た身体を、寄せて来た。
首に両腕を巻き付けて真摯な眼差しで正面から顔を見据えられると、こちらが恥ずかしくなり顔を逸らせてしまう。
「格好よくて悔しくて……でも今は、凄く可愛いです」
照れている顔をさせているのは誰でもない自分だと満足した成瀬は、尖らせていた唇を解いて何時もの無邪気な笑顔をして見せた。
可愛らしいその様にキスがしたいと思った俺は、成瀬が着ているシャツの裾から手を忍び込ませて腰を掴む。
「でも成瀬の方が、俺よりもずっと可愛いから」
「やっ……ま、たっ!」
先程、この手で溺れていた成瀬を再び溺れさせると、真っ赤な顔をして目蓋に力を込めて瞑り、か細い嬌声を上げている唇にキスをした。
ふ(ふいに)
20170614
フライングですが、成瀬誕生日おめでとう~?
ちょっと詰めが甘いけど……ごめん(苦笑)
可愛くべたべた出来たので、私は満足だよ(笑)
小話、お付き合い頂き、ありがとうございました!
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