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自分設定甚だしいんですが…すみません、小十佐でございます。








ぽぅ、と優しい灯を受けて影が一つ、障子に落ちていた。
卓へ真白な紙を止め、主へと渡す書状を認めていた片倉小十郎は、真摯な眼差しで真白な紙と睨み合い、筆を一気に滑らせて行く。

「誰だ!! 出てきやがれっ!!」

無言のままに手を動かしていた小十郎が怒鳴り、片膝を上げくるり、後ろを振り返った。
何時の間に筆から脇差しに持ち替えたのか、手にしたそれを闇に沈む襖へ向け投げ付ける。
鈍い音を立て襖に突き刺さった脇差しは、闇の中にあった仮面を真っ二つに割っていた。
からん、と乾いた音をさせ畳へと転がる仮面は、狐を模した物だった。

「出て来い、猿飛!!」

「ふぇ~……旦那の背後に立ったら命、幾つあっても足りないね」

締まり無い顔をして夕焼け色した髪を掻き毟りながら、暗闇より姿を現したのは真田忍軍が長・猿飛佐助だった。
割れて転がっていた仮面を拾い上げて佐助は、くわばらくわばら、と小十郎へ嫌そうな声を出して言ってのけた。

「忍び込んで来るテメェが悪い! 馬鹿野郎!!」

「あら? だって俺様、忍よ?? 忍び込んで当然でしょ~」

「……っ?! ……ごちゃごちゃ抜かしてんじゃねぇ!!」

ご丁寧に『馬鹿』まで付けて叱られたにも関わらず佐助は、にま、と笑って減らず口を叩く。
自分の揚げ足取りをされた小十郎は、ぶすっ、として怒り露わで言葉無しに卓へと向かった。

(あーらら)

彼を怒らせてしまったのは、後々に不便が出て困りものだと思った。
しかし、その事を頭の片隅へ追いやると、浮かべていた笑みを深くする。

(……ま、良いか。此処に触れられるんだから、さ)
からかわれ拗ねる小十郎が見せた、広く逞しい背中へ寄り添う。急に触れられ驚いたか、滑らせていた筆の動きが鈍った。
大きく揺れた身体に背後から腕を回すと佐助は、小さな笑い声を立てて熱を持つ頬を宛がうのだった。





寄り添って /20110111




お題進行中。
何時以来だろう、小十佐。
久々なんで勘を取り戻すもへったくれも無いんですが、少しでもホッコリして頂ければ幸です。


彼の背中はさぞ広く、暖かいだろう…と桜岡が佐助に乗り移っているだけの様な小話で失礼致しました。汗。

くそっ、羨ましいぜ筆頭&佐助!!←間違いなく桜岡、処分されます(笑)
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