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内容が好きかどうか、分からないが――――映画に行かないか?




桜井さんが、招待券を貰ったからと映画に誘ってくれた。
チケットに書かれた題名を見ても分からず一瞬ためらったが、首を縦に振った。
内容は調べれば分かるだろうけれど、見てのお楽しみににしておこうと考えた。
桜井さんに、どんな感じの映画か聞いてみたけれど、俺と同じ事を考えていたらしく、顔を見合わせて二人して笑ってしまった。


当日。
映画館の入り口辺りで待ち合わせをしていたけれど、前の日なかなか寝付けなかった俺は、遅刻してしまった。
上映時間には間に合っているんだけど、先輩を待たせてしまい必死で謝った。
桜井さんは怒ること無く、穏やかに微笑んで、俺の背中に手を回して劇場へ入ろうと促した。



適度に空調の効いたそこは、どちらかと言うと人の入りは少なく、ゆったりと席を選べる状態だった。
後ろよりは少し前の方へ行きましょうと声をかけたけど、桜井さんは背が高いから前に行きすぎると後ろ側にいる人が見辛くなってしまうからと、後ろでも良いかと逆に質問されてしまう。
誘って貰ったのは俺の方だし、回りに気遣う桜井さんに感動してしまい、勿論ですと答える。すると、軽く腕を掴まれて、この辺りにしようと俺を連れて行く。
温かい手にドキリとしながら、誘導された席に座る。左側に座った桜井さんに顔を向け、ありがとうございますとお礼を口にする。ぽん、と頭な手を置かれてまたドキリとしている事に気付いてるのか分からないけど、俺の髪をかき混ぜて笑っていた。
もう顔が真っ赤になって、火が出そうな程に恥ずかしくて俯こうとした時、タイミング良く劇場内の照明が落ちて暗くなった。
舌打ちらしきものが聞こえた気がしたけれど、穏やかな声色で始まるよと桜井さんは言う。
低くて身体に染み込んでいく声に三度目のドキリを貰い、左側は絶対に見ないと俺は、スクリーンに顔を向けたまま返事をした。




映画が始まった直後、左側から俺の方にずしり、と重みが降ってきた。
見たくないけど首を左側に傾けたら、寝息に合わせて桜井さんの髪が揺れていた。
勉強や部活で疲れているのに、無理して此所に誘ってくれたのだと思うと起こせなくなった。
見れない桜井さんの分も、俺がこの映画を見ておくべきなんだと思いながらも……その寝顔の誘惑に負けて、左側を見詰めてしまうのだった。




となり
20150705





遅くなりましたが、成瀬誕生日おめでとう!
珍しく一人称で書いたら、見事に自滅(T-T)
桜井さんが悪戯(笑)しそうなところを、逆に……
成瀬が、桜井さんに対して好意を寄せつつある感じが出ていれば、と思います。

映画は…結局なんだったんだろふ。
私にも分かりませんので……苦笑。


だって~
成瀬の肩借りて寝てる桜井さん、書きたかっただけなんやもん!



開き直った書き手ですが、お付き合い頂き、ありがとうございました!
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