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────く、苦しい。

────良く、こんなの平気でいられるよな。

────もう、帰りたい。

────頼む、脱がせろ。

「どうしたんだ、お前達。もう少し背を立てろ。腹筋を使えば、背筋は自然と伸びる」

「は、はい……小林さ、ん……はぁ……」

「アンタは慣れてるだろうけどなぁ、俺達ゃ初心者なんだ。もうちょっと楽になる方法とか無いのかよ」

「無い。澤村と成瀬だけが初心者ではない。桜井さんを見ろ」

突然話を振られた桜井は、苦笑いをして首を振る。
本当は澤村と成瀬に同じく腹回りを締められ苦しいのだと言い、今すぐにでも解放されたいのだが、せっかくの着付けなのだからと暫し耐えると言う。
桜井の隣で苦しそうに息を吐く成瀬の帯に手を掛け、今すぐ脱がせてやりたいと耳打ちした。
その桜井の零した台詞に澤村はうんざりした顔を、小林は真っ赤になりながら帯に掛けた手を払う。
言われた成瀬は苦しさから頷きかけたが、脳内で反芻して……桜井の傍から飛び退いた。

「ほらほら遠慮しないて。楽にしてあげるからこっちへおいで、成瀬」

「い、嫌です! 昨日の夜、再びになりそうですからっ!」

「何やってんだよ、てめぇ等っ! コイツの前でソッチ系の話、するんじやねぇよ、バカヤローっ!」

初詣へ行こうと相成った桜井と成瀬は、正月早々小林と澤村を誘った。ならばと小林は、着物を持ち出し皆に着付けたのだ。
最初は物珍しく騒いでいた成瀬と澤村だったが、慣れないものに圧迫され音を上げる。桜井は苦しいが平然を装い、小林は慣れいるのが目に見えた。

「……やれやれ。学年が皆、違うから同じ様には無理でも、この関係が長く続くように祈ろう」

着物を身に付けている事をすっかり忘れている後輩達は暴れ始め、先輩は自分の台詞を棚上げして二人を笑顔で見詰めていた。
小林は、着付けをやり直さなければと苦笑いをし、そして柔らかく微笑んだ。



初詣
20160101




明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い致します!



今の私です……
着物生活に憧れ、数年前に福袋で買った着物を今日、着ています。
初詣へ行き、帯が崩れ焦ったり、腹が苦しかったり……大変です。
自分で着付けたから、適当やし(^^;
草履ないから、裾を顔を、上げ気味にしてロングブーツ履いて、中には暖かいインナーを身に付けています。


そんな自身の事をネタにしました。

何時までも、こんな関係の四人を書いていきたいと思います。


お付き合い頂き、ありがとうございました(*^^*)
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