忍者ブログ
色々と語っております・・・
[841]  [840]  [839]  [838]  [837]  [836]  [835]  [834]  [833]  [832]  [831
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





「美味しいね~、暖まる!!」

手袋をした両手で包み握った紙カップに口をつけた成瀬は、湯気のたつ珈琲を一口飲み込んで言う。体内の温度と外気温の差が少し大きいのか、真っ白な息を吐いていた。

「にしてもお前、やたら慣れていたな」

「何が?」

「これ作るの」

「ああ、珈琲ね。何時も桜い……」

「わーった。のろけるな、バカ」

「なっ、なんだよ、それ!?別にのろけるとかじゃないし、ただ桜井さんが何時も作ってくれるのを見て、覚えてただけだよ!!」

……それを世間では『のろけ』って言うんだよ!!
言葉をグッ、と飲み込んだ澤村は、同じく手にした紙カップの中身を口に含む。すると、今まで経験したことの無い甘い味をしたものが喉を通って行く。嫌みの無い甘さで驚いた澤村は、目を丸くして成瀬を見る。

「少し控えめにしたんだけど、どう?」

「悪くねぇ。以外と甘いのも……美味いんだな」

珈琲を飲むと言えば、味を変えないブラックを好む澤村だったが、今日は成瀬の作った甘い味をしたもの。
まんざらでもない澤村の顔を見た成瀬は、『暖まって、優しくなれるんだよね~』と自信作の珈琲をまた口に含んだ。



***



最近、安価で暖かく美味しい珈琲が飲めるのは、懐具合の薄い学生には有り難いものだ。
しかも、 町中にある大抵のコンビニエンスストアで買えるのが、また有り難い。
帰宅中、体が冷えてきたからと、制服のポケットに手を突っ込み、小銭の種類を確認した澤村と成瀬は、顔を見合せて頷く。そして、コンビニエンスストアの自動ドアを潜り、暖かな店内へ入って行く。
レジで金を払い、代わりに紙カップを貰った二人は、脇に備え付けられている珈琲メーカーから液体を注ぎ込む。セルフサービスなので、そのまま飲むも良し、ミルクや砂糖で味を整えるも良しだった。
澤村は、何時も通りに珈琲を注ぎ込むとプラスチック製の蓋をして、店から出ようとしていたが、珈琲メーカーのところでもたもたしている成瀬が自動ドアの硝子に映る。
何時もの事だが、早くしろと言う体をして澤村は近付き、成瀬の手元を覗き込む。他に珈琲を買う客に出会さなく、迷惑にならずに良かったと店内を見回すが、何時来るやも知れないので肘で小突いて促す。

「もう少しだから……」

「適当でも、お前の味覚なら判んねぇだろ」

「そんなことないよ!!ちょっとそれ、貸して!!」

「てめっ!!もし不味かったら金、払えよ!!」

「ぜーったいに、美味しいって言わせるから!!」

失礼な言い種に成瀬は、澤村の手から珈琲が入った紙カップを奪い取り、蓋を開けてあれやこれやと投入して行く。貴重な資源で買った珈琲に色々悪戯されている様を澤村は、成瀬に不味くなったら責任取れと文句を浴びせていた。
そうこうしている時、新しい客がコンビニエンスストアに入って来ると、直ぐ様レジで珈琲の紙カップを受け取っていた。それに気付いた澤村と成瀬は、仕上がった珈琲を手に店を慌てて出て行った。



***



「たまには……これも、あり、だな」
成瀬と別れた澤村は、まだ紙カップに半分くらい残っている甘い珈琲を飲みながら、のんびりと帰り道を歩いていた。
飲み慣れない所為で口するペースが遅いのと、外気温に晒されている紙カップも相まって、中の液体から徐々に暖かさが失われて行く。
残りも僅かになり、冷えてきた珈琲を一気に飲み干そうとした澤村は、道の前方に見慣れた背中が在るのに気付く。
一瞬にして胸が弾んでしまい、深呼吸して落ち着かせようとする。しかし上手く出来なかった澤村は、その背中目掛けて猛然と駆けて行き誤魔化す。

「かっ、かさっ……はり……っ!!」

「な……何かあったのか、澤村!?」

息切らせてやって来た澤村を見た、『かさはり』と呼ばれた人物は、何かあったのかと動揺して声が揺れる。

「あんたの背中見えたから……これ、やるよ!!」

「お……おいっ、俺は珈琲は飲まんぞっ!」

「一度、騙されたと思って飲んでみな!!案外、行けるぜ!!」

驚いて固まっている人物の手を無理やり掴み、自らが持っていた紙カップを握らせた。手袋をしていないその手は冷たく、握らせた紙カップの上から澤村は手を添えた。

「今度は、俺がちゃんと美味い珈琲……飲ませるから……今日はこれで我慢してくれっ!!」

「……んっ!?」

手を握られただけでも顔を赤くしている人物は、澤村の少し潤んだ眼で真摯に見詰められ、更に赤くなる。持たされた紙カップごと腕を引かれ、危ない、と言おうとした人物の唇を澤村は掠め取り、そのまま走って一人逃げて行った。
走り去る背中を追い掛けられず、緊張で喉は乾きを訴える。
呆然としていた人物は、握らされた紙カップに口を付けた。
おそらく初めて飲むでだろう甘い甘い珈琲で、渇ききった喉を潤すのだった。





sweet  coffee
20140119





小林さん、誕生日おめでとうございます!!
これだけ打つのに二時間以上かかってるって、恐るべしスマホ!!
滑ってるのと、叩きすぎと、押し間違い。
なかなか慣れるまでは長がそうだわ。
フリックでしたっけ?できないわ~(^-^ゞ



そんなわけで、コバ誕♪
コバースデーとも言う♪


やっぱり逆に見えるんだよなぁ……でもコバサワ!!
成瀬の作った珈琲だけど、キスと間接キス付けたから、良いよね(笑)


甘いものは、癒し。
コンビニ珈琲にも、私は癒されました。
仕事キツいとき、寒さが辛いとき、ホントに癒されました。
珈琲チェーンのは甘いのダイレクトに注文しますが、コンビニやファストフード店はブラック派な桜岡でさした。



少しでも見てくださった方も、暖まって頂ければ幸いです。
駄文、お付き合いのほど、ありがとうございました☆



小林さん、誕生日おめでとうございます!!
あなたにも澤村しか贈呈しません(笑)
PR
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
性別:
非公開
フリーエリア
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター

Copyright © らぶふら日記 All Rights Reserved.
Material & Template by Inori
忍者ブログ [PR]