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色々と語っております・・・
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こちらは本当にご無沙汰してしまって、すみません……
すっかりIQ沼にいて、ピクブラ、pixivには地味に作品あげてますし、イベントにも出ております……相変わらず。

で、澤村の誕生日祝い、書いていたのに此処へ上げていなかったので、桜井さんの分と一緒にあげました。

相変わらずドヘタクソですが、良かったらお付き合いしてやって頂ければ幸いです……
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『夢の終わり、現の始まり』
──なんか目の前に、見慣れた奴がいるんですけど!?
唯、その見慣れた奴は顔だけで、首から下は絶対に『有り得ない姿』なのである。
「正博様、朝食の準備が整いました。お目覚めを」
「は? あの……小林純直さんですよね!?」
そう聞かざるを得ない状況なのは、ここが正博こと、澤村正博の住むパチンコ屋の二階にあるワンルーム。合い鍵は誰かに渡した記憶もない、今、床へ転がっているひとつのみ。
寝る前に鍵は掛けたし、窓から侵入するにもネオンサインが邪魔をして、無理だ。
「フルネームで呼ばなくとも、何時も通り『小林』と呼び捨て下さい」
「アンタ、今、どんな状況か判ってるのか?」
「状況?」
何時もと変わりなく、貴方に仕える執事だと小林は言い、跪いていた床から腰を上げて立つ。
その身のこなしは美しく、女ならば『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』と、あのお決まりの言葉がとても似合う立ち居振る舞いだ。
決して女の柔らかな美しさではない、男の張りのある凛々しい美しさ。
一つ上の先輩だが、とても同じ高校生とは思えないその姿。
周りからは侍だとか呼称されているが、この姿で日本刀なんて構えられたら、女でなくとも一瞬で惚れて堕ちるだろうと澤村は、小林の──今の今まで見たことのない、黒の燕尾服姿に目を疑い、そしてあまりの格好良さに頬が朱に染まっていた。
「今朝は、とてもおかしなことを仰る。私は正博様のお世話をする為に生まれ、そして命を賭して護る為に生きる──唯、それだけです」
「っつかさ、アンタ高校生だし、オレの先輩で、一緒にバスケットボールやってんじゃん!? それなの、にいきなり執事とか、意味わかん──ねっ!?」
何か怖い夢でも見られましたか?と、上着のスワロテイルを揺らめかせ、立ち上がった小林は再び跪く。
未だベッドの上で硬直し、顔と視線だけで燕尾服姿を追っている澤村を見上げ、仏頂面で有名な男はフワリと笑う。
(コイツ、ダレダ──ッ!!)
澤村の知る小林純直は、こんな笑い方をしたことがない。
何時も不器用に、片頬だけをひきつらせて笑う。
心底笑ってもぎこちないそれが澤村は好きなのに、このたらし込むような笑いに吐き気を覚える。
「大丈夫ですか? 酷い汗をかかれています……浴室の準備は整っておりますので、お使い下さいませ。その間に、朝食の準備を致します」
(オレハ、コンナ、キモチノワルイオトコニ、ホレタオボエハ、ナイッ!!)
澤村は、小林の姿に得も言われぬ恐怖を感じ、脂汗が全身から吹き出す。額を流れ落ちるそれを、断り無く生暖かい手で拭われ、今まで硬直していたのが嘘のような、機敏な動きで燕尾服の男と距離をとり、ベッドの端へと逃げる。
それなのに男は、執事だと言うくせに手を伸ばし、澤村にまた触れようとしてきた。
ちら、と切れ長の目をそらせば、外からは侵入できない窓が、漆黒の水晶体に映り込む。
「まさひろさまっ、なにをっ!!」
「オレの知っている小林純直はなぁ、仏頂面でカサハリ浪人で、むっつりスケベでネクラでよ──面と向かっているときは、オレに断り無く……身体に触ったことなんてねぇんだよっ!!」
そう怒鳴った澤村は、たかだか二階だが一歩間違えれば怪我だよな、バスケ出来なくなるなぁ──と頭の端に言葉が過る中、その窓から飛び降りた。
「──が、っ!?」
「どうした? 魘されてたが……ああ、酷い汗だ。触っても大丈夫か?」
飛び降りた記憶は、ある。
しかし、何でそんな夢になったのか、判らない。
皮膚が張り裂けんばかりに啼く心臓と、荒れた呼吸を整えなければと澤村は、自身を抱き締め夢の行方を探る。しかし、飛び降りた場所がここからだと言うことしか記憶にない。
「澤村……」
「あ──ゴメン、カサハリ。大丈夫、触っても……」
「すまん。あとこれ、飲め」
「ありがとう……オレ、なんか……」
目の前にいる小林は断りを入れ、澤村の額から流れ落ちる汗を拭い、氷水の入ったグラスを手渡す。すると身体から出て行った水分を補うように一気に煽り、安堵の息を吐いていた。
握り締めていると力加減が出来ず、割ってしまうかも知れないとそれを取り、床へ跪いて澤村の様子を見上げている。
心配しているのだと、少し目尻の下がった綺麗な翡翠の目で、言葉なく見詰めていた。
とても心配してくれている、本当に断り無く触れない小林に、自分の知っている『小林純直』だと嬉しくなる。
「何かさ、変な夢を見たんだけど、覚えてなくてさ。しかも誕生日にだぜ? 目覚めた時にアンタの顔があって、凄く安心した……居てくれて、ありがとう」
そう言った澤村は、汗かいてるのに悪いなぁと思いながら小林に抱き付き、抱き締めて欲しいと強請る。
風呂も食事も出来ていると言いながら小林は、強請られた通りに澤村の身体をしっかりと抱き、誕生日おめでとうと耳元で囁いた。 
20190831
『告白』
 
 
三年生が引退し、今は二年生、一年生が一丸となり、試合や練習に精を出している。
秋から冬になろうとする、十一月の終わり。
日の出、日没は夏とは比べものにならないくらい短く、成瀬が帰る頃には、外は既に真っ暗だった。
 
「はぁぁぁーっ。今日も疲れたーっ……帰って寝るぞ!」
 
「煩せぇよ。それだけ声、出せんならまだ、走れるんじゃね?」
 
「お腹空いてるから、無理、走れないっ!」
 
部活動の練習で疲弊し、泥の中に埋もれたように重い身体を引きずり、のろのろ歩いている成瀬と澤村。
早く帰りたくても、帰れなくて。だけど口だけは達者で、いろんな事を話ながら校門をくぐり抜ける。
 
「じゃあな、また明日」
 
「あれ帰り道……羨ましいなぁ」
 
「な、なんだよ……あ、そうか。悪ぃ」
 
「ううん、良い。判ってる事だし……じゃあね、また明日!」
 
成瀬はひとりで駅へ向かい歩き、本来一緒に駅へ向かうはずの澤村は、校門で足を止めた。
大技を繰り出す癖に、存外小柄な後ろ姿を見詰めて、あとでやって来る先輩を待っていた。
 
 
「判っている、そんなの全部判ってる。だけど今日……誕生日なんだよね」
 
とぼとぼと歩いている成瀬の、落ち込んだ表情が、家の明かりで照らし出されている。
顔を上げれば、温かそうな家族模様が目に映り、すぐさま視線をそらせて早歩きをした。
せかせかと歩いていると、額に汗がじんわりと浮いてくる。立ち止まれば、凛と冷えた空気が成瀬を包み、あっという間に汗が引いてしまう。
空気が寒いのと、自分自身の心が侘しいのとで、大きな黒目にうっすらと涙が滲む。
ここで泣いていても、どうすることも、どうなるものでもない。
ぐず、と鼻を鳴らして、風の冷たさが染みて涙が浮いた振りをし、制服の袖で目を擦る。
今までまちまちだった明かりは、駅について煌々として成瀬を包んでくれた。
 
「学校で一瞬会えたし、誕生日メールも送って、ありがとうメールも貰った。これだけでも良し……に、しなきゃね」
 
駅舎に入り、定期券を使って改札を通り抜けて、ホームへ上がる。
列車はまだ本数があり、寒くはあったが数分待っていると、すぐに帰る方向の列車がやってきた。
ゆっくりとホームへ進入してきたそれは、ぴたりと成瀬の目の前で止まった。
プシュッ、と空気を吐き出す音をさせ、自動ドアが開けば、中から降りてくる人を待ち、動きがなくなれば成瀬は車両の中へと入る。
ちょうど帰宅する人並みがある時間で、部活動の大きなバックを持つ成瀬は、邪魔になると上の棚に上げようと持ち上げたとき、ふっ、と軽くなり、驚いて後ろを振り返る。
 
「列車に乗り込むところが、見えたんだ……お疲れ様、成瀬」
 
「あ──ありがとうございます。桜井さん、今日、遅くないですか?」
 
「少し先生に、進路のことで質問があったんだ。相談にも乗って貰ってたら、こんな時間だ」
 
偶然、成瀬に会えたから、残っていたのも良かったかな、と笑いながら側に立つ桜井だった。
出発のベルが鳴り、列車がゆっくりと動きだし、そしてスピードを上げて幾つかの駅を通り越してゆく。
割合と大きな駅に止まる所為か、人の流れが大きく、成瀬や桜井が降りる駅まではまだ少しあった。
今、隙間なく人が車内に乗っていて、成瀬が潰されないように桜井が盾になり、自動ドアへ手を付き、守っていた。
 
「桜井さん、俺、大丈夫ですから。
腕、痛めてしまいます」
 
「俺はもう、部活をしていないんだ。少しくらい平気だから、気にするな。お前は試合も控えている、大事な身体だからな」
 
頭一つ大きな桜井は、成瀬を見下ろし、眼鏡の奥にある優しい目を、細めて見詰めている。
男らしくて、格好良くて、優しい……自分を大切にしてくれる桜井を、人ごみの暑さでではない、真っ赤な顔をして成瀬も見詰め返す。
ガタン、と突然、大きく揺れた瞬間に後輩は、勇気を振り絞ってどさくさ紛れに先輩の、大きな胸に抱き付いていた。
 
「な、成瀬!?」
 
「ごめんなさい、少しだけ……桜井さん、お誕生日おめでとうございます……大好きです……」
 
「うん、知ってる……良かった、今日会えて……ありがとう、成瀬」
 
次に停車すれば、桜井とは別々の電車へ乗換、また明日──となる。
成瀬は、こうして守ってくれている姿を見て、こんなことを思い付き、行動してしまったのだ。
会えないと思っていた大好きな人に、こうして偶然会えたのだから嬉しくて、大胆になってしまい、恥ずかしくて顔を俯けてしまう。
抱き付いている成瀬の身体へ、急いで腕を回して強く抱き締め、そして棚から荷物を取り、降りる準備を始める。
電車が停車し、成瀬と桜井の前にある自動ドアが開き、人の流れを止めないようにさっさと車両から降りた。
 
「成瀬、ありがとう。今度、甘いものを食べに行こう……な」
 
「は、はいっ! 桜井さん、あの……さっきは迷惑じゃなかったですか?」
 
「迷惑な訳、ないだろう? 大胆で驚いたけど、嬉しかった」
 
「──っ!! お、俺っ、帰りますっ、お疲れ様でしたっ!!」
 
また明日に……そう言って軽く手を振る桜井は、仕出かした事に恥ずかしくなった成瀬の、人ごみを避けて走り、小さくなる背中を見送っていた。
 
 
20191120
ひさびさに書きました、コバサワ。
今更感な話ですが、こんな事がない限り契約しないと思うんだ……ハイテク機器苦手やろうし(笑)



『でんわ、つながる』


インターハイで北海道遠征の時、まさか自分を捨てたと思っていた親父と再会した。
事情を知った成瀬や浩介達は、俺達の仲を必死で取り持とうとしてくれた。
暑苦しい奴等だ、迷惑だと思っていたが、上南の面子まで巻き込み大騒ぎした挙げ句、ぎこちなくはあるが一応和解は出来た。
わだかまりを吹っ切り、突然出来た小さな弟分の為にと戦っていたが、腕を怪我して試合をしている姿を見た親父は、直ぐに状況を判ってくれた。
澤村様らしくないと言われるだろうが、離れていても気にかけてくれていたのだと感じ、心の底から嬉しいと、いかれた腕と共にコートから離脱する俺は思った。



それから。
北海道に残る親父は、居場所と連絡だけは付けられるようにと、別れ際に携帯電話を渡してくれた。
これがあれば困ったときは連絡出来る、すっかり懐いている弟分とも話せると。
こんな事しか出来ないがと、共に住む道を断った俺に少しばかりの援助をさせて欲しいと言い、押し付けられてしまった。
新しい物好きの成瀬は、見せろ見せろと纏わりついて来るものだから、鬱陶しいから押さえとけと桜井に言う。
桜井はどさくさ紛れに触れると成瀬を捕獲し、抱き付いて、抱き締めていた。
良くやるよと呆れた顔して二人の様子を見ていると、仏頂面した男がさっさと搭乗しろと注意し、通り過ぎていった。

「俺の所為になってるだろうが、このバカップルが!!」

彼奴にボソボソ嫌味言われんのが一番嫌なんだ!と、バカップルを足蹴にして俺は、その仏頂面の背中を追う形で親父達、北海道の地を後に東京へ、自分の居場所へと帰った。





「あーあ、今日で夏休みも終わりだぁ……」

「俺は、お前の世話をしなくて済むようになるから、有り難いぜ」

「でも俺のお世話でお金巻き上げたんだから、懐は潤ったでしょ?」

「だからこうしてアイス奢って、還元してやってるだろう?」

元は俺の財布の中身じゃん!と成瀬は、丸く形成されたアイスを齧りながら文句を言っている。
自分が出来てない宿題を手伝ってやってるんだからギブアンドテークだろうと俺は、机の下で成瀬の脛を蹴り、痛みで黙らせた。
涼しい店内で男ふたりでアイスを食っているとか、面白くも何ともないと思っていると、成瀬の携帯電話が震えだした。
ディスプレイを見、誰だろうと非通知の文字に小首を傾げた鳴瀬は、ごめんねと謝りながら通話を始めた。
迷惑だから店から出て話をしろと出入り口を指差した時、通話口を手で押さえて携帯電話を俺の目前に突き付けた。
俺に?と無言で自分の鼻先を指させば、そうだと目を白黒差せて成瀬も無言で頷く。
親父の好意で携帯電話を持たせて貰っている所為で、あまり番号を外には教えてなく、成瀬を捕まえれば俺が付いてくる図式で皆、連絡の取次に使っていた。
成瀬の驚いたような慌てふためくような雰囲気に、年上の人間だろうと言う事だけは判った。
電話を怖いもののように扱い、早く出ろと突き出してくるものを取った俺は──向こう側から聞こえてきた声に納得し、そのまま店を出る。
室内のクーラーで冷えた身体は、外気に曝されすぐに汗が浮き始めてくる。
それでなくとも向こう側から聞こえてくる声と会話すれば、身体が熱くなるのに一体何なんだ?と突っ慳貪に要件を聞く。

「──わ、判った。じゃ、此処にあるこの店まで来てくれ。あと契約に必要な証明とか同意書、忘れんなよ。じゃ三十分後に」

借りた携帯電話で話終えた俺は、成瀬に礼を言って返す。
誰と話してたか判っているから何も聞かないで居てくれる成瀬に心中だけで感謝し、行くわと手を振り店を出る。




『あ、あの……迷惑かも知れんが、お前と同じ携帯電話を契約したい。どうすれば良いのだ?』



同機種にしておくと困ったときは俺に聞いて教わることが出来る、そして俺の誕生日に絶対契約したいのだと力強く言ってのけた。
仏頂面の男が百面相しながら話している姿を思い浮かべ、外の熱さにも負けないくらい俺の顔も熱を持つ。
ポーカーフェイスを売りにしている俺は、深呼吸をひとつして一応心を落ち着けると、約束した場所へ足取り軽やかに向かうのだった。




でんわがあれば、どこでもつながる、こえがきける、すきなひととはなしができる、しあわせになる。




20180831   

西山センセの連載が始まった!
Webってのが少し引っかかってるんだけど(Webで読み慣れてないから、苦手)、ともあれ縁だよな、と思いました。

配信日見たとき、あ!って思ったぐらい、嬉しかった……


西山センセ、気付いてらっしゃるかな……


成瀬、誕生日おめでとう!!
今年は嬉しいね♪
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