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七夕のキセキ。
そしてベツリ。





いきなり帰ってきたもんだから、動揺するのは判るけど、せっかく一年ぶりに逢えたんだから、せめて説教は止めて欲しかった。
でも、そこがアイツらしいんだとも……思う。
散々文句を言いながらも、何処と無く嬉しいのか照れていた。そのあと、お互いに顔を合わせて居ない間にあった出来事を話し、俺が少し泣き言を零せば、ありったけの力で抱き締めてくれた。アイツの不器用な優しさで気持ちが緩んだか、らしくもなく胸を借りて泣いてしまった。




「もう帰っちゃうの?!」

「あ……バイトもガッコもあるしな。っつか、なんでテメェ等が居るんだよ!!」

「だって~ね、桜井さん」

「俺達も、久々に帰ってきた澤村が、どんな風になってるか見たかったし、会いたかったからな」

「要らねぇ……」

嫌そうな顔をしてもびくともしない桜井と、相変わらず一緒に居る成瀬が、呼びもしないのに見送りに空港まで来ていた。
アイツと二人きりで、別れ際まで空気を持たせる自信がなかったが、コイツ等が居れば居たで、良いような迷惑なようなで複雑だった。
多分、アイツが気を利かせたか、間が持たないと判断したか……呼んでいたんだろう。

「ね、何時の飛行機?次は、いつ帰ってくる?今度はゆっくり……」

「はいはい成瀬、そう質問攻めにしない。最後の最後に澤村に殴られたくないだろう?」

「アンタ、俺のこと一体、どう思ってんだよ!」

「相変わらずで安心したよ。また悪さしていたら説教してやろうかと思っていたけど、小林がしっかり手綱を締めていたからかな?」

「さっ……桜井さんっ!!」

「るせぇ!!さっさと帰れ!!」

「そうしようかな。これ以上、邪魔したら悪いからな。今度、帰ってきた時は、成瀬が言ったようにゆっくり話しでもしよう」

「まっ、またねっ!!絶対、絶対、帰ってきてねっ!!」

これから短い時間だがフライトだと言うのに、バカップルと名付けられた台風が過ぎ去って行く。
名残惜しげに振り返りながら手を振る成瀬を引っ張りながら、後ろ手を軽くあげて挨拶している桜井の姿が、徐々に小さくなり人混みに紛れてしまった。

「……す、すまん。勝手に……」

「良いよ……アイツ等に付き合ってるアンタって、大変だよな」

口許を隠して思わず笑ってしまった俺は、目線だけを上げて隣を見る。
面目ない、と言う風情で二人の進んでいったロビーを見詰めていた。

「……今度はちゃんと連絡する。だから……」

「言われなくても、お前の帰りを待っている」


目線は下げてはくれなかったが、今までよりも力強い言葉で約束を、そしてアイツの右手は……しっかりと、俺の左手を握り締めていた。




「七夕」
20120708



すみません、もう題名が浮かびません…ヒラメキ、来ない~

自分のツイートから派生したネタ。
そして、成瀬がどうも女の子喋りになるのは、私のせいか(笑)



この四人には、何時までも仲良しさんでいてほしいなぁ~と、いつも思う桜岡でした。


ずっと高校生バージョンで50音、書いていたので少し年齢を上げてみました。


駄文、お付き合いのほど、ありがとうございました!!






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