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澤村は、蒸し暑い自室の真ん中に座り込み、床に置いた何の穢れも無い真白な封筒を見詰めていた。
此処の住所を書かれている訳でも、切手が貼られている訳でも無く、表書きは澤村のフルネームが達筆な文字で印されてあるだけだった。
裏を返せば、左端に小さくこれまた達筆な文字で名前が印されていた。
もちろん、この手紙の差出人の名である。

「だからレトロなやり方で来るんじゃねぇよ」

今時の高校生は、携帯もパソコンもメールも当たり前の様に使うのだし、実際、この手紙の差出人も不器用ながら使うのだ。
だから何故、手紙なのだと。
どうして何故、此処までわざわざ持ってきたのだと。
ならば何故、自分に会って帰らないのだと。


「あーっ!!暑いのに色々考えたら腹立ってきた!!暑さ倍増じゃねえかっ!!」

何もかも、この手紙の差出人の所為だと、考えれば考えるだけ苛々が当たり前だが募り、澤村の体感温度も一向に下がる気配は無かった。
その怒りと熱さを、目の前に置いた真白な封筒にぶつけるべく、荒々しく床から拾い上げ封を切った。
中から出てきた便箋も、これまた何色にでも染まれとばかりに真白でいて、記されているほんの数文字は、透けて裏からでも読めてしまった。
表書きとは全く違い、想いを認めるだけでも必死だったのか、心許ない細く細い文字だった。

「……らしいよな……ホント、アイツらしいや……」

澤村は、透けた文字に苦笑いしながら――――涙を零した。



『誕生日おめでとう。今までも、これからもお前が好きだ』





はつ恋
20110830





はい、聞いているのは勿論、フクヤママサハルでごさいます。
これ、結ばれない初恋を歌ってますが……澤村と手紙の彼は、永遠に初恋してれば良いと思います(笑)

歌詞の中に「手紙」という単語が出てきたので、使わせて貰いました。

永遠に『恋や愛』の行方を、二人で捜し求めて頂きたいです。




こんなちっちゃなお話ですが、澤村へ……お誕生日おめでとう!!
彼の名は出てませんが、勿論……あの人だよ♪






フライングなのは、月末月初の仕事っぷりがヤバいのと、戦国オンリーまで18日しか無いとか言う怖い原稿期間なんで、出来るときにしておけ!と相成りました(T_T)
日にち見てビックリした…無いよ、原稿する時間!!
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