色々と語っております・・・
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山国育ち、北国育ちには、四の月初めに桜が見れようとは思いもしなかった。
「こっちも、あっちも、そっちもら咲き乱れて、綺麗なもんだね」
「俺達の国じゃ、まだまだ春なんざ先の話だ」
「今年は、二回も花が愛でられるね。旨い酒もたらふく呑めるよ、右目の旦那」
隣で団子を頬張る忍に、思わず苦笑いをし、何本目だと聞いてみる。すると、何時もは全て己が主に食われてしまうからと、いちいち数えてないくらい食べていると答えが返る。胃と腹の辺りを擦りながら、忍は満足気な顔をして、また口の中へと団子を放り込む。
「そろそろ止めておいた方が良いんじゃねぇか? 鈍るぞ」
「煩いよ~。俺様、これくらいじゃ何とも無いんだから。それより旦那の方こそ、いい加減にしといたら?刀捌き、鈍っちゃうよ~」
頬に団子を詰め込んだまま忍は、隣で酒に伸ばす手を一向に止めない男に釘を刺す。忍に諌められようとも、なみなみと酒を注ぎ、桜の花が浮かぶ盃を口へと運んでいた。
桜の木の袂より見上げた薄水色の空には、筆で描いたような白い雲が浮き、咲き誇る花を引き立てている。愛らしい桃色した花弁と共に、忍と男の間をさら、と春の風が通り過ぎた。
穏やかな、美しきかな情景を目に焼き付け、安穏とした刻を楽しんでいた。
「良いのかねぇ……敵陣真っ只中なのに、さ」
「此処の主と、仮面の男も野暮じゃねぇだろう。今頃、天守から見てんじゃねえか」
ーーーーこの風情ある春の花と、俺達を……な。
盃を煽り話す男の台詞に一瞬目を見開いたが、忍はそれに同調する印に頷き、目を細めて淡い色した世界を目に焼き付けるのだった。
桜の苑
20140406
わっかんないかもですが、小十佐です。汗。
豊臣絡み(アニバサ2期)の話を捏造し、先日の戦煌にてペーパーを出しました。
書きたかった話の導入部分と、ざっくりさした全景をば……
で、大坂城も桜の季節なもんで、花見ネタとして書いてみました。
これから桜前線北上です。
今日はまたまた花冷え、花散らしの雨が降り残念なんですが、この小咄で暖まって頂ければ幸いです。
秀吉と半兵衛は、男が言うように花見をしておりましたとさ。
天守から動向を、遠眼鏡で見ながら。
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