忍者ブログ
色々と語っております・・・
[873]  [872]  [871]  [870]  [869]  [868]  [867]  [866]  [865]  [864]  [863
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





山国育ち、北国育ちには、四の月初めに桜が見れようとは思いもしなかった。

「こっちも、あっちも、そっちもら咲き乱れて、綺麗なもんだね」

「俺達の国じゃ、まだまだ春なんざ先の話だ」

「今年は、二回も花が愛でられるね。旨い酒もたらふく呑めるよ、右目の旦那」

隣で団子を頬張る忍に、思わず苦笑いをし、何本目だと聞いてみる。すると、何時もは全て己が主に食われてしまうからと、いちいち数えてないくらい食べていると答えが返る。胃と腹の辺りを擦りながら、忍は満足気な顔をして、また口の中へと団子を放り込む。

「そろそろ止めておいた方が良いんじゃねぇか? 鈍るぞ」

「煩いよ~。俺様、これくらいじゃ何とも無いんだから。それより旦那の方こそ、いい加減にしといたら?刀捌き、鈍っちゃうよ~」

頬に団子を詰め込んだまま忍は、隣で酒に伸ばす手を一向に止めない男に釘を刺す。忍に諌められようとも、なみなみと酒を注ぎ、桜の花が浮かぶ盃を口へと運んでいた。


桜の木の袂より見上げた薄水色の空には、筆で描いたような白い雲が浮き、咲き誇る花を引き立てている。愛らしい桃色した花弁と共に、忍と男の間をさら、と春の風が通り過ぎた。
穏やかな、美しきかな情景を目に焼き付け、安穏とした刻を楽しんでいた。

「良いのかねぇ……敵陣真っ只中なのに、さ」

「此処の主と、仮面の男も野暮じゃねぇだろう。今頃、天守から見てんじゃねえか」

ーーーーこの風情ある春の花と、俺達を……な。



盃を煽り話す男の台詞に一瞬目を見開いたが、忍はそれに同調する印に頷き、目を細めて淡い色した世界を目に焼き付けるのだった。







桜の苑
20140406







わっかんないかもですが、小十佐です。汗。

豊臣絡み(アニバサ2期)の話を捏造し、先日の戦煌にてペーパーを出しました。
書きたかった話の導入部分と、ざっくりさした全景をば……


で、大坂城も桜の季節なもんで、花見ネタとして書いてみました。


これから桜前線北上です。
今日はまたまた花冷え、花散らしの雨が降り残念なんですが、この小咄で暖まって頂ければ幸いです。


秀吉と半兵衛は、男が言うように花見をしておりましたとさ。
天守から動向を、遠眼鏡で見ながら。


PR
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
性別:
非公開
フリーエリア
バーコード
ブログ内検索
P R
カウンター

Copyright © らぶふら日記 All Rights Reserved.
Material & Template by Inori
忍者ブログ [PR]