色々と語っております・・・
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一枚の紙に、綺麗な文字で認められていた言の葉。
どうせ今日も学校で、顔を合わせるのだから一々帰る必要も無いだろう。
澤村は、その紙を見て愚痴た。
「今更、無理させたもへったくれも無いだろう……バカ」
体躯良いくせに余程申し訳ないと思ったのか、書いた本人からは想像できないくらい小さな文字が紙の上に連なる。
らしいと言えば『らしい』のであるが、今日くらいは一緒に登校しても良かろうと、澤村もらしくない内容の愚痴を零す。
「しっかし綺麗な字だこって……ん、なんだこりゃ?」
『追伸、831』
831は、澤村の誕生日であり、それは今日である。
わざわざ追伸で、この数字を書く必要があるのか。
澤村は首を捻り、数字の意図を探る。
「831で、野菜……何で誕生日にまで野菜食えとか言われなきゃならねぇんだよ!」
浮かんだ答えに髪を掻き毟り、更に首を捻る。
部活に出ているとバイト代が追い付かず食いっぱぐれる事もあるが、そこはこの手紙を残して帰った奴が面倒を見てくれたり、成瀬やフープの仲間を上手く言いくるめて奢らせたりもしている。
決して野菜を食べていない訳では無いが……少ないとは思う。
「けど、誕生日で野菜って……わ、判んねぇよカサハリ」
誕生日の朝、自室で一人ぼっちにされた澤村は、紙を持つ手を震わせて悩み、悩んだ。
***
学校が夏休みだろうが何だろうが、部活と言う儀式は発生する。
今朝起きた831事件で頭がいっぱいいっぱいの澤村は、ぼんやりと車窓を流れる景色を見ていた。
まだ夏の足跡が残るものの、真夏とは確実に違う空模様が目の前に広がる。少しずつ朝晩も気温が下がり、隣に暖かさが欲しくなりつつあった。
「くそっ、思い出した。人の気も知らねぇで……バカ」
本日二度目のバカ発言をした澤村は、気を紛らわせようと携帯端末を操作し始める。そして、ふと目についたネットニュース引っ掛かった。そして今すぐここから、この乗っている電車から降ろしてくれと叫びそうになった。
「……あの野郎、どこでこれ知りやがった! 覚えてろカサハリっ!!」
見なくとも頬が真っ赤になっているだろうと澤村は、今起きた幸せの焦燥と共に携帯端末を鞄へ押し込む。
火照る顔を冷やすべく、目の前にある窓へ額を押し当て、静かに瞳を閉じた。
831
20150831
今日のラジオネタ。
所々しか聞けなかったのですが、831=アイラブユーだそうで。
一応調べたんですが、隠語みたいな感じで英語圏では使われてるそうな。
そんなこんなで澤村、お誕生日おめでとー!
自分で書いていて、何で帰んねんテメェ!と突っ込んだのは、言うまでもございません。
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