色々と語っております・・・
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まだ暑いね、まだ暑いな。
それが合言葉になっている、残暑の厳しい八月も終わり。
部活をしているものだから夏休みを満喫するなどもっての他、山のように積み上がった宿題を目の前に、成瀬は頭を抱えている。
机を挟んで向かい側には、指を三本たてた澤村がにんまりと笑っていた。
「さて、成瀬くん」
「判ってるよ……お友達価格で、安くならない?」
「なるか、ばーか!」
要領の良い澤村は、要領の悪い成瀬に宿題を写させて欲しいとせがまれ、部室へやってきていた。
儲け話と、何処か放っておけない成瀬のお願いに仕方ないと暑い中、学校にまで足を運んだ自分を誉めて欲しいと澤村は思う。
自分達の部屋よりは多少涼しい部室で、しぶしぶ財布から所望された枚数の札を出す。お願いします、と頭を下げた成瀬の髪を、ぐしゃぐしゃにしてやった澤村は、他にも稼ぎ口が待っているから早くしろ、と急かせた。
黙っていれば美男だが、口を開けば罵詈雑言、その上、頭も切れると来たものだ。
抜け目ない澤村に鞭入れられた成瀬は、涼やかなりし部屋に居るにも関わらず、汗水垂らして宿題を写して行くのであった。
☆
今日一日で、如何程になったのだろうか。
澤村は、すっかりと夜も更けた頃に、自室へと戻ってきた。
閉めっぱなしにされていた部屋に籠る熱気は凄まじく、大急ぎで窓を全開にして空気を入れ替える。
幾分と夜の大気は、昼間のそれとは違い穏やかでいて、部屋の温度を少しずつ冷ましてくれる。
人心地ついた澤村は、手早くシャワーで汗を流し、戴いたものを部屋の何処かへ隠してしまう。
殆ど何も入っていない冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、一気に煽った。
日頃は贅沢だと言って水道水を飲むのだが、今日は特別報奨と奮発してみたのだ。
「今月あんまりバイト入れてなかったんだけどなぁ……」
インターハイもあった事からアルバイトを長期間休むことになったものの、マスターは澤村を辞めさせること無く、寧ろ応援してくれていて、食事の差し入れや身の回りの面倒を見てくれた。それに加え、少しだけれどもと幾らかポケットマネーを出してくれたのだった。
流石に申し訳無いと断わろうとした澤村よりも早く、口を開いたマスターは『大人には甘えるものだ』と、笑いながら小言を零した。
自分に接する人間が増える度に澤村は、己が弱くなって行くのでは無いかと危惧していた。しかし、それは違うのだと教えてくれた人が現れた。全く澤村との接点が見当たらない、真逆の性格をした人間が……
「見付かったら、小言で済むかなぁ」
澤村の心に根付いたその存在は徐々にと膨らみ、無視を決め込む事が出来ないくらいに熱を上げてしまうのだった。
いつの日か、肩を並べて歩ければ良い……との想いを抱いて毎日を過ごすようになっていた。
「……この澤村さまが、らしくねぇなぁ」
濡れた髪をタオルで擦ると共に抱いた念を拭い去ろうとしたが、呟いた言の葉と、内に点った熱は消えぬままだった。
「やっべ……」
口許を咄嗟に押さえた澤村は、零れ落ちそうになった言の葉を飲み込み、体内に埋め込む。それは、内に籠った熱を増幅させるだけだの行為だと判っていても、せざるを得なかった。
汗を流した筈なのに、また更に汗が浮き上がる感覚がもどかしく、澤村は眉間に深い皺を刻む。
「……明日になったら嫌でも顔、見るだろうがよ……何で我慢出来ねぇんだよ!!」
この感情の出口を探し求め喉元を引っ掻き、真っ赤な爪痕を肌に刻む。
これ程までに苦しい思いを背負わせる人間の顔を、今、一目見たいと――――夏の熱に魘され、想いの熱に魘さる。
固い床の上に座り込み、腕を抱いて自らを護る澤村は、何時の間にか溢れて来た涙で双眸を濡らす。
一分、一秒がもどかしい。
一瞬で時が変わる扉があれば、直ぐにでも開きたい。
「会いたい……今、会いたい……こ……」
「……澤村……居るのか?」
澤村が胸を焦がす程に求めた人間の声が、躊躇いがちに叩かれた玄関扉の向こうより聞こえて来た。
街灯で小さな磨りガラスに影が浮かび、見紛う事ない姿がそこに在る。
中からの返答が無いことに首を捻ったか、結ばれた後ろ髪が揺れるのが見えた。
澤村は、タオルを掴み涙の跡を擦り消し去る。腫れているであろう目を見られないように、それをすっぽりと頭から被り、扉に近付く。
「何だよ、いきなり!!」
外に居る人間に怒鳴った澤村は、そっと扉に手を添え……はにかんで頬を朱に染めたのであった。
synchronize
2021111
遅くなりましたが、澤村誕生日話。
っつか、こんな内容の予定ではありませんでした。
書き始めたのは、それこそ澤村の誕生日前に聞いたラジオのネタが発端でした。
澤村の誕生日が、マレーシアの独立記念日だってのを話していました。
確か、こんな話やった←もう最近、もの忘れが激しくて。苦笑。
それで、ジャポニカの影響も若干感じつつ、いつか小林と二人で海外へ行きたい、と願う澤村の話でした。
だから前半は、お金の話(笑)
小銭を貯めて、旅費を作って……
旅行会社が配ってる無料のパンフレットを見ながら、未来に行くであろう旅行に思いを馳せてる……はずだったのに、なに、この脱線具合(笑)
多分、聞いている曲のせいでしょうか…
ミズキナナの「synchrogazer 」の歌詞の影響かな。
デスイズアニメopのテンションがかなり好きで、ヘビロテ中。
まぁ、脱線しまくったら澤村が凄いことになっちゃいましたが、これも一興?と思ってください。苦笑。
かなり私にしてはくどくど強い、内の感情剥き出しな小話でしたが、これも一興?と捉えて頂ければ幸いです。
ようやっと…多分今だけでしょうが、少し仕事に時間が出来たので、少しでも50音、勧められればな~と思ってます。
相変わらずネットとは絶縁してるんで←ここ一週間わがのサイトにも、メールも、なんもチェックせずでした。をいをい。
さて、やっと書き終わったんでボチボチ帰るとします。
久々に部屋の掃除をしたんで、要らない本をうっぱらってきました(;^_^A
拙い話ではありましたが、お付き合い頂き……ありがとうございました!!
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