色々と語っております・・・
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桜岡捏造設定の小話です。
四家の話、紅京バージョンinちびっ子です。
作った設定はどこぞに上げてるんですが…携帯からの更新なんで掲載できず、不親切で申し訳ありません。
捏造やら紅京お好きな方は、お付き合い頂ければ幸です。
手の中に有る鈴が、奏でる音を耳にすれば必ず――――あなたを思い出します。
自分とは全く違うものを持った二階堂紅丸を初めて見た時、草薙京は言葉を忘れてしまい、ただただ驚きで目を見開いているだけだった。
小雪舞う師走の宵。
京の家へやって来た人は、金の髪をして蒼い目の、自分との容姿が全く違う、人の形をした鬼の様に見えた。
古い習わしを重んじ護る草薙の、時期当主で在る京は、間抜けな顔でその鬼を見詰め、父親の背に隠れてしまう。
様子を伺う風に、背中側からちらちらと顔を覗かせては引っ込める、を繰り返していた。
「すまないね、紅丸君。君の様な容姿の子供を見たことは疎か、この家に自分と同じくらいの子が来るのも初めてだからね」
怖がって、珍しがっている様だ。
京の父親は、蓄えた髭を撫でながら、息子の反応に謝罪した。
彼とは一つしか歳が違わないのに、生活の習慣が違う所為か、とても幼く感じられると紅丸は思った。
二人の親は昔馴染みなのか、和気あいあいと話をしているが、二人の子供は互いに黙ったままでいた。
しかし、少しだけお兄さんの紅丸は、おっかなびっくりしている京の手を引っ張り、部屋から飛び出した。
悲鳴を上げようとしたが、馬鹿にされたくないと幼心に思い、息を飲み込んだ京は怖さを隠して紅丸の後ろを付いて行った。
「大丈夫……そうかの」
「大丈夫……でしょう」
内心はらはらしながらも二人の父親は、子供の事には口出しせず、本人同士に任せることにするのであった。
親達の居る部屋から飛び出した紅丸と京は、大きな草薙の家を探検していた。
主に紅丸が気になった場所に入り込み、京に説明を求めると言うものだった。
外見は金髪蒼目で不思議な感じだったが、同じ様な言葉遣いをする所為か、徐々に慣れてきていた。
打ち解け始めると慣れは早いもので、子供同士仲良く遊び始める。
走り回り、二人の親の居る和室に飛び込んできたかと思えば、はしゃぎ立ててまた飛び出す。
仲良くしている様子に両家は、今後の事も慮り胸を撫で下ろしていた。
***
「かみ、きれいだね」
「そう?」
「うん。キラキラしてる。ぼくと、ぜんぜんちがうんだ」
あの後、部屋から飛び出した紅丸と京は、雪の降りしきる中、庭を駆けずり回り泥だらけになってしまっていた。
最初は、どうもじゃれていたらいしのだが、いつの間にか本気になり……拳を交えていたのだ。
幼いなりにも、次代を担う力の持ち主。
当然、武術の心得もあり、親からの手ほどきも受けている紅丸と京は、互いに力を使い、技を繰り出していた。
その事に気付いたのは勿論、二人の父親だ。
気の流れを追い、辿り付いた先に居た子供達の式服は焦げ付き、肩で息をしながらも構えを崩さず、睨み合っていた。
「そこまで!」
小さな身体を遮り割って入ったのは、この家の現主。すなわち、京の父親だった。
紅丸の父親は、もう少し見ていたかったのだが、割って入った訳は、京の方が力が強いと判断しての事だと判った。
「別に良かったんですよ。あいつも、力の差が判って闘争心に火が着くでしょうに」
「いやいや。今は知らずとも子供同士、仲良くしていても良かろう」
いずれにせよ近い将来、二人には判ること。
互いが互いに競い、切磋琢磨して高みを目指し、地を護る者として在り続ける。そんな重いことは、今は知らずとも良いことだろう。
子供は子供。
今を大切にすれば良い――――そう京の父親は、子供達の頭を撫でながら紅丸の父親へと語りかけた。
泥だらけにして、式服もめちゃくちゃにしてしまった二人は、小脇に抱えられ風呂場へ放り込まれた。
「しっかり温まってから出て来なさい」
ぴしり、と風呂場の引き戸を閉められてしまい、渋々と言われた通りに風呂に入り、湯に浸かる。
子供二人が入っても十分な大きさのある浴槽に浸かっていたが、暫くすると暇になってきたのか遊び始めてしまう。
水音を盛大にさせて泳いでいると、いつの間にか見付かってしまい、拳を仲良く一つずつ食らわされたのだった。
「馬鹿者。遊ぶのも良いが、逆上せる前に上がって来い」
父親からの制裁に、これまた仲良く痛む頭を抱え、湯の中に沈んで行った。
そうこうしていると、言われた通りに逆上せた京と紅丸が出来上がり、これまた父親達から目玉を食らわされたのだった。
ほこほこと湯で温まり、ほんのりと肌を朱くして着替えをする京は、同じ様に隣で着替えている紅丸の、金色した髪の事を言った。
綺麗だと言われ満更でも無い紅丸だったが、実はこれの所為で仲間外れにされる事がしょっちゅうあると京に説明する。
初めて見た時は京も驚いていたが、自分と同じ様に力を持ち、拳を交え話してみれば、怖いだのどうだのと言う考えは、すっかり消えていた。
見た目は普通でも、持つ力に周囲は驚き、腫れ物に触る風な扱いをされきた幼い京は、紅丸の様に仲間外れにされてきたのだ。
それがこうして近くに、不思議な力を持つ紅丸が現れた。
同じ『存在』だと、これからの運命(さだめ)を共にするのだと、幼心に認識し合う。
「かみのけだけできらわれるのって……かなしいよね。ぼくは、ちからのせいで……」
「でも、それはおれもおなじだろう?きょうにあえて、おれ、すごくうれしいんだ」
嫌われる事の辛さを知っている所為だろう。京は、外見だけで判断する奴らが許せず、悲しいと感じた事を素直に口にする。
それを受けた紅丸は、自分も同じ事を感じ、拳を交え合える京の存在が嬉しいと口にした。
手に手を取って握ると、顔を合わせて、目を見て……笑う。
「これから、なかよくしような!」
「うん!」
二人とも湯上がりに浴衣を纏い、手に手を繋いで風呂場から出て来ると、京の母親が手招きをしていた。
「紅丸君も京も、こちらにいらっしゃい」
和服姿の京の母親が前を行き、二人の子供はその背中を追い、小走りに廊下を進んで行く。
何処からか小さな音が、ちりり、ちりりと響いていた。
冬の寒く冷たい空気を伝い、凛と澄んだ音が耳に留まる。
京と紅丸は、ちらちらと辺りを見渡し、音の出所を探っていた。
先を行く母親は、少しだけ首を後ろへ傾けて様子を伺う。
不思議そうにしている二人の様に、可愛らしさが募り自然と口の端に笑みの花が咲く。
「こちらに入りなさい」
「はーい」
仲良く声を重ねて返事をすると、顔を見合わせて笑いながら和室に入る。
そこには寝間が用意されており、大きな布団に京と紅丸は並んで寝かし付けられた。
「あ、すず!さっきのは、かあさまだったんだ!!」
細くしなやかな指先で京の母親は、寝転んでいる二人の髪を整え、お休みの挨拶を声かける。帯に挟まれている小さな鈴が二つ、前屈みになると宙で揺れ、小さな音を奏でた。
それに気が付いた二人は、先程の音の出所を見つけ、謎が解けたと喜んでいた。
「これが気になっていたのね。そうだわ。二人が仲良くなったのと……互いの絆を強く結ぶ為に、一つずつ渡しましょう」
二つの鈴は、京の母親が父親から渡された唯一のものだった。
金と銀の鈴が小太刀を納める袋に付けられてあり、それを外すと京には銀を、紅丸には髪色と同じ金の物を手に握らせた。
対の鈴の意味を、離れ離れになろうとも呼び合い、必ずまた巡り逢えるだろうと語り聞かせるのだった。
柔らかな京鈍りの声色に、寝物語の様に話しを聞いていた京も紅丸も、大きな欠伸をしてしまう。
あらあら、と眠たそうにしている子供達に語り続けていた母親は、ごめんなさいと謝る。そして、明かりを消して暗くすると、部屋から出て行った。
雪が月明かりを受け、白く輝いている所為か、暗闇の和室にうっすらと光りが入り込む。
寄り添っている二人は顔を見合わせ、おやすみなさいの挨拶をする。
鈴を握る小さな手と手を合わせ、しっかりと繋ぐ。
「ずっといっしょに……いような」
「……うん……」
そう言葉を交わした京と紅丸は、深い深い眠りの淵へと誘われて行くのだった。
***
今、京の手の平には、金色の鈴が乗せられてある。
母親から渡された鈴を翌朝、紅丸と交換したのだ。
漠然と子供心に、金色の髪と同じ鈴より、自分に渡された銀の鈴の方が紅丸に似合っていると思っての事だった。
父親と共に東京へ帰る紅丸の後を追い掛け、手にした鈴を変えて欲しいと願い出る。すると紅丸は、京の願ならばと快く交換した。
「これなら、いつもいっしょだな!」
「うん、そうだね。はなれていても、だね!」
――――よくよく考えると、恥ずかしいな。
初めて出逢って、初めての別れ際に交わした台詞がこれかよ、と京は、思い返して苦笑いして見せた。
紅丸は、後生大事に銀の鈴を持っているようだが、京は既に無くしてしまったと話している。
本当は、こうして手の平の中に有ると言うのに……
「アイツにバレないようにしなきゃな。ったく、恥ずかしいったらありゃしねぇ」
あの頃から、この気持ちは変わらないのだと――――離れていようとも何時も傍に在り、彼の事を想っているのだと京は、手の平で転がる金の鈴を優しく握り締めるのだった。
奏え鈴 / 20110331
京の誕生日祝いに書いていた小話ですが…今ごろ仕上がりました。
まぁ、携帯の中に二年前くらいに書いて止まっているのやら、書きかけとか10本くらい未送信メールに貯まってます。汗。
その中の一つが、これです。
まぁ、オリジナル設定の話ですので…どうかな?とは思いましたが、離れていても何時も一緒の想いなのだと言いたかっただけでした。苦笑。
かなり遅くなりました…けど誕生日祝いに☆
この月曜に急遽、仕事を休み…皺寄せに現在ヒーハー!してます。マジで。
この日曜も仕事確定したので…(涙)
帰り道にチマチマ打ち、頑張ってみました。
ちょうど月曜から始めていて…今です仕上がったの。
3月最後の更新、小話になりますが…少しでも楽しんでいただければ幸です。
お付き合いの程、ありがとうございました!
四家の話、紅京バージョンinちびっ子です。
作った設定はどこぞに上げてるんですが…携帯からの更新なんで掲載できず、不親切で申し訳ありません。
捏造やら紅京お好きな方は、お付き合い頂ければ幸です。
手の中に有る鈴が、奏でる音を耳にすれば必ず――――あなたを思い出します。
自分とは全く違うものを持った二階堂紅丸を初めて見た時、草薙京は言葉を忘れてしまい、ただただ驚きで目を見開いているだけだった。
小雪舞う師走の宵。
京の家へやって来た人は、金の髪をして蒼い目の、自分との容姿が全く違う、人の形をした鬼の様に見えた。
古い習わしを重んじ護る草薙の、時期当主で在る京は、間抜けな顔でその鬼を見詰め、父親の背に隠れてしまう。
様子を伺う風に、背中側からちらちらと顔を覗かせては引っ込める、を繰り返していた。
「すまないね、紅丸君。君の様な容姿の子供を見たことは疎か、この家に自分と同じくらいの子が来るのも初めてだからね」
怖がって、珍しがっている様だ。
京の父親は、蓄えた髭を撫でながら、息子の反応に謝罪した。
彼とは一つしか歳が違わないのに、生活の習慣が違う所為か、とても幼く感じられると紅丸は思った。
二人の親は昔馴染みなのか、和気あいあいと話をしているが、二人の子供は互いに黙ったままでいた。
しかし、少しだけお兄さんの紅丸は、おっかなびっくりしている京の手を引っ張り、部屋から飛び出した。
悲鳴を上げようとしたが、馬鹿にされたくないと幼心に思い、息を飲み込んだ京は怖さを隠して紅丸の後ろを付いて行った。
「大丈夫……そうかの」
「大丈夫……でしょう」
内心はらはらしながらも二人の父親は、子供の事には口出しせず、本人同士に任せることにするのであった。
親達の居る部屋から飛び出した紅丸と京は、大きな草薙の家を探検していた。
主に紅丸が気になった場所に入り込み、京に説明を求めると言うものだった。
外見は金髪蒼目で不思議な感じだったが、同じ様な言葉遣いをする所為か、徐々に慣れてきていた。
打ち解け始めると慣れは早いもので、子供同士仲良く遊び始める。
走り回り、二人の親の居る和室に飛び込んできたかと思えば、はしゃぎ立ててまた飛び出す。
仲良くしている様子に両家は、今後の事も慮り胸を撫で下ろしていた。
***
「かみ、きれいだね」
「そう?」
「うん。キラキラしてる。ぼくと、ぜんぜんちがうんだ」
あの後、部屋から飛び出した紅丸と京は、雪の降りしきる中、庭を駆けずり回り泥だらけになってしまっていた。
最初は、どうもじゃれていたらいしのだが、いつの間にか本気になり……拳を交えていたのだ。
幼いなりにも、次代を担う力の持ち主。
当然、武術の心得もあり、親からの手ほどきも受けている紅丸と京は、互いに力を使い、技を繰り出していた。
その事に気付いたのは勿論、二人の父親だ。
気の流れを追い、辿り付いた先に居た子供達の式服は焦げ付き、肩で息をしながらも構えを崩さず、睨み合っていた。
「そこまで!」
小さな身体を遮り割って入ったのは、この家の現主。すなわち、京の父親だった。
紅丸の父親は、もう少し見ていたかったのだが、割って入った訳は、京の方が力が強いと判断しての事だと判った。
「別に良かったんですよ。あいつも、力の差が判って闘争心に火が着くでしょうに」
「いやいや。今は知らずとも子供同士、仲良くしていても良かろう」
いずれにせよ近い将来、二人には判ること。
互いが互いに競い、切磋琢磨して高みを目指し、地を護る者として在り続ける。そんな重いことは、今は知らずとも良いことだろう。
子供は子供。
今を大切にすれば良い――――そう京の父親は、子供達の頭を撫でながら紅丸の父親へと語りかけた。
泥だらけにして、式服もめちゃくちゃにしてしまった二人は、小脇に抱えられ風呂場へ放り込まれた。
「しっかり温まってから出て来なさい」
ぴしり、と風呂場の引き戸を閉められてしまい、渋々と言われた通りに風呂に入り、湯に浸かる。
子供二人が入っても十分な大きさのある浴槽に浸かっていたが、暫くすると暇になってきたのか遊び始めてしまう。
水音を盛大にさせて泳いでいると、いつの間にか見付かってしまい、拳を仲良く一つずつ食らわされたのだった。
「馬鹿者。遊ぶのも良いが、逆上せる前に上がって来い」
父親からの制裁に、これまた仲良く痛む頭を抱え、湯の中に沈んで行った。
そうこうしていると、言われた通りに逆上せた京と紅丸が出来上がり、これまた父親達から目玉を食らわされたのだった。
ほこほこと湯で温まり、ほんのりと肌を朱くして着替えをする京は、同じ様に隣で着替えている紅丸の、金色した髪の事を言った。
綺麗だと言われ満更でも無い紅丸だったが、実はこれの所為で仲間外れにされる事がしょっちゅうあると京に説明する。
初めて見た時は京も驚いていたが、自分と同じ様に力を持ち、拳を交え話してみれば、怖いだのどうだのと言う考えは、すっかり消えていた。
見た目は普通でも、持つ力に周囲は驚き、腫れ物に触る風な扱いをされきた幼い京は、紅丸の様に仲間外れにされてきたのだ。
それがこうして近くに、不思議な力を持つ紅丸が現れた。
同じ『存在』だと、これからの運命(さだめ)を共にするのだと、幼心に認識し合う。
「かみのけだけできらわれるのって……かなしいよね。ぼくは、ちからのせいで……」
「でも、それはおれもおなじだろう?きょうにあえて、おれ、すごくうれしいんだ」
嫌われる事の辛さを知っている所為だろう。京は、外見だけで判断する奴らが許せず、悲しいと感じた事を素直に口にする。
それを受けた紅丸は、自分も同じ事を感じ、拳を交え合える京の存在が嬉しいと口にした。
手に手を取って握ると、顔を合わせて、目を見て……笑う。
「これから、なかよくしような!」
「うん!」
二人とも湯上がりに浴衣を纏い、手に手を繋いで風呂場から出て来ると、京の母親が手招きをしていた。
「紅丸君も京も、こちらにいらっしゃい」
和服姿の京の母親が前を行き、二人の子供はその背中を追い、小走りに廊下を進んで行く。
何処からか小さな音が、ちりり、ちりりと響いていた。
冬の寒く冷たい空気を伝い、凛と澄んだ音が耳に留まる。
京と紅丸は、ちらちらと辺りを見渡し、音の出所を探っていた。
先を行く母親は、少しだけ首を後ろへ傾けて様子を伺う。
不思議そうにしている二人の様に、可愛らしさが募り自然と口の端に笑みの花が咲く。
「こちらに入りなさい」
「はーい」
仲良く声を重ねて返事をすると、顔を見合わせて笑いながら和室に入る。
そこには寝間が用意されており、大きな布団に京と紅丸は並んで寝かし付けられた。
「あ、すず!さっきのは、かあさまだったんだ!!」
細くしなやかな指先で京の母親は、寝転んでいる二人の髪を整え、お休みの挨拶を声かける。帯に挟まれている小さな鈴が二つ、前屈みになると宙で揺れ、小さな音を奏でた。
それに気が付いた二人は、先程の音の出所を見つけ、謎が解けたと喜んでいた。
「これが気になっていたのね。そうだわ。二人が仲良くなったのと……互いの絆を強く結ぶ為に、一つずつ渡しましょう」
二つの鈴は、京の母親が父親から渡された唯一のものだった。
金と銀の鈴が小太刀を納める袋に付けられてあり、それを外すと京には銀を、紅丸には髪色と同じ金の物を手に握らせた。
対の鈴の意味を、離れ離れになろうとも呼び合い、必ずまた巡り逢えるだろうと語り聞かせるのだった。
柔らかな京鈍りの声色に、寝物語の様に話しを聞いていた京も紅丸も、大きな欠伸をしてしまう。
あらあら、と眠たそうにしている子供達に語り続けていた母親は、ごめんなさいと謝る。そして、明かりを消して暗くすると、部屋から出て行った。
雪が月明かりを受け、白く輝いている所為か、暗闇の和室にうっすらと光りが入り込む。
寄り添っている二人は顔を見合わせ、おやすみなさいの挨拶をする。
鈴を握る小さな手と手を合わせ、しっかりと繋ぐ。
「ずっといっしょに……いような」
「……うん……」
そう言葉を交わした京と紅丸は、深い深い眠りの淵へと誘われて行くのだった。
***
今、京の手の平には、金色の鈴が乗せられてある。
母親から渡された鈴を翌朝、紅丸と交換したのだ。
漠然と子供心に、金色の髪と同じ鈴より、自分に渡された銀の鈴の方が紅丸に似合っていると思っての事だった。
父親と共に東京へ帰る紅丸の後を追い掛け、手にした鈴を変えて欲しいと願い出る。すると紅丸は、京の願ならばと快く交換した。
「これなら、いつもいっしょだな!」
「うん、そうだね。はなれていても、だね!」
――――よくよく考えると、恥ずかしいな。
初めて出逢って、初めての別れ際に交わした台詞がこれかよ、と京は、思い返して苦笑いして見せた。
紅丸は、後生大事に銀の鈴を持っているようだが、京は既に無くしてしまったと話している。
本当は、こうして手の平の中に有ると言うのに……
「アイツにバレないようにしなきゃな。ったく、恥ずかしいったらありゃしねぇ」
あの頃から、この気持ちは変わらないのだと――――離れていようとも何時も傍に在り、彼の事を想っているのだと京は、手の平で転がる金の鈴を優しく握り締めるのだった。
奏え鈴 / 20110331
京の誕生日祝いに書いていた小話ですが…今ごろ仕上がりました。
まぁ、携帯の中に二年前くらいに書いて止まっているのやら、書きかけとか10本くらい未送信メールに貯まってます。汗。
その中の一つが、これです。
まぁ、オリジナル設定の話ですので…どうかな?とは思いましたが、離れていても何時も一緒の想いなのだと言いたかっただけでした。苦笑。
かなり遅くなりました…けど誕生日祝いに☆
この月曜に急遽、仕事を休み…皺寄せに現在ヒーハー!してます。マジで。
この日曜も仕事確定したので…(涙)
帰り道にチマチマ打ち、頑張ってみました。
ちょうど月曜から始めていて…今です仕上がったの。
3月最後の更新、小話になりますが…少しでも楽しんでいただければ幸です。
お付き合いの程、ありがとうございました!
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