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不親切だったと今更気付いたオバカです。

取り敢えず、先に出来ている本の冒頭部分です。
こんな感じ・・・ってのを載せてみました。

参考にも何もならないとは思うのですが、如何せんサイトで1本もないので・・・
ほんの少しだけですが、宜しければ駄文、お付き合い下さいませ。





この下より。

















この天水の地にも、穏やかで優しい日差し降る春が訪れた。
「春など、来なければ良いのに……」

木々に降り積もった雪の溶ける様を見、趙雲が独り愚痴た。
天上から射す薄桃色の光りは、ある人の存在を思い出させるには、事足りるものだった。
難しい顔をして愚痴を零した趙雲は、枝より滴り落ちる雪融け水を掌で受け止める。
水の冷たさに今を、日差しの暖かさに過去を見、眉間に刻まれた皺を更に深くさせてしまうのだった。





南方では既に春半ばを迎え、柔らかく膨らんだ桃の蕾は花開き、見事な枝振りに心奪われ、見る者を魅了して止まずにいる。
趙雲は、その春の暖かさから、その咲き誇る桃花から逃げるように、天水へ赴く旨を諸葛亮に進言したのであった。


「天水は、姜維に任せてますが……何か不満でも?」

「いえ、不満とかでは無く……唯……暫く天水での滞在を、認めては頂けないでしょうか?」

今は亡き初代蜀帝・劉備が掲げた『仁』の想いを旗印に、集まった優秀な将達。路半ばにして倒れた彼の意を継ぐ御子・劉禅を守り立て北伐を経、孫呉を、曹魏を討ち破った。
諸葛亮が王道の標(しるし)を天下三分に有りとし、人脈を導き、國力を蓄え、眼前に立ちはだかる二強と渡り合うだけの國を潤し、礎を築き上げた。
蜀漢を纏め上げるには、劉備が心を傷める事も、己が手を汚す事も諸葛亮は、國を建てる為にと獅子奮迅とやり遂げて来た。
それは今、此処で我が儘を許して欲しいと懇願している趙雲も同じだった。


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